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2002.02.11 07:00

土佐の果物語(34=終) 第5部 (6=終)街道の直売 記憶に残る味を

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12月末から2月いっぱいまで店頭は鮮やかなポンカンカラーで埋まる(安芸郡東洋町)

 一月中旬、高知県東部のポンカン産地、安芸郡東洋町。国道55号沿いの左右の店頭に赤みがかっただいだい色のポンカンが並んでいた。

 「パイロット事業で植えたポンカンの初収穫が昭和四十七年。道路縁で売ると売り切れになるほどで、当時は二十、三十メートル置きに売っていたねえ」

 国道沿いに店舗を持つ生産者が言う。

 「昔から徳島県日和佐(の薬王寺)に厄抜けに行く人が買ってくれていたんでしょう」と土佐あき農協甲浦支所の長谷川洋一経済課長。この時季の出荷場はポンカンのコンテナで埋まる。

 県内にも多くの産地があるので、買う方は迷う。県安芸農業改良普及センター室戸支所の中野和彦普及員が言う。

 「高知市から東でポンカンといえば、甲浦。高知市内から西は立目をはじめとする須崎市、さらに西は土佐清水市を連想するみたいです」

 ここ数年、市場でポンカンの値段は良くない。高知市場での一キロ当たり平均単価は平成三年に三百五十円だったのが十一年は百七十五円、十二年は二百円。市場関係者は「同時季に出回るかんきつ類が増え、珍しさがなくなった」と言う。「昔ほどのこくがなくなった気がする」との声も。

 中野さんに味について聞いてみた。

 「こくというか…。食べるといつまでも記憶に残る味がポンカンにはあるんです」

 そんな味、香りをいつまでも残し続けたい。

   □  ■

 シリーズでは第一部の新高ナシを皮切りに、これまでブンタン、小夏、ヤマモモ、ポンカンを取り上げた。高知県では、このほかにもメロン、温州ミカン、パイナップルなどの素晴らしい果物が栽培されている。

 「種があるので食べにくい」「皮むきが面倒」といった主として若い層の消費者の声、栽培に障害をもたらす気候変化、果物のライバルになる飲料水製品の増加…。取り巻く状況は厳しいが、果物には人の心を満足させる魅力がある。小さな果実に土佐の気候風土や生産者の思い、技術が凝縮されている。

 頑張れ、土佐の果物たち。(経済部・竹村朋子)

高知のニュース 土佐の果物語

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