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2002.02.11 10:10

土佐の果物語(15) 第2部 (7)旬 悪果が良果駆逐?

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枝で光り輝く土佐ブンタン。おいしさの基準は人それぞれ(土佐市市野々)

 露地の土佐ブンタンのおいしい時期っていつだろう。樹上で熟らす高知県宿毛市は二月上旬からだという。野囲いで追熟させる土佐市の場合を尋ねてみた。

 「味が乗ってくるのは二月中旬以降から」と市場関係者。量販店関係者は「三月下旬から四月上旬」。ブンタン育ての親、宮地正憲さん(78)は「最高においしいのは四月中旬」。

 高知市の青果店主は「三月ごろ」と言い、「パリパリとした感じが好きな人はあんまり果汁の回らない二月を好みます。外気温によって食味も違いますね」

 ちなみに宮地さんは二月中旬から出荷を開始する。ところがその前から注文する人もおり、「こちらは最高の味を知っているでしょ。まだ早いと言うんですが、承知をしてくれん」とか。で、「サンプルを送って味を確かめてもらったり、早過ぎる時には『しばらく自分の所で置いておきなさい』と言ってます」。

 ところが…。一月からブンタンが店頭に並ぶ量販店もある。

 「販売時期が年々早くなっているのは事実なんです。土佐市でいえば、以前は露地の土佐ブンタンが一月中に出てくることはなかった。早いものでも二月から、遅いものでは五月まで売っていました」(ある量販店)

 なぜ年々早くなるのか。理由はライバルとの競争。競合店が店頭に並べると、消費者から「まだか」という声が出て置かざるを得ない状況になるという。

 また生産者側の事情もある。当たり前の話だが、栽培面積が多いほど生産量も多い。そういう農家では早くから順に出荷する必要がある。そうしないと来シーズンの作業にも支障が出てしまうのだ。加えてもう一つ。早い時期の高値を追いかけて、味が乗る前に出す人もいるらしい。

 「先に味が乗っていないのが出ると、『おいしくない』という印象ができて、後からおいしいのが出てきても買ってくれない。『悪果』が『良果』を駆逐してしまう」

 ある生産者はそう嘆く。

高知のニュース 土佐の果物語

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