2002.02.11 10:30
土佐の果物語(13) 第2部 (5)天候不順 落ち込んだ価格
生産者だけでなく、高知市内の青果店主も肩を落とす。十一年度作の土佐ブンタンは、良い、悪いがくっきり分かれ、昨年の市場価格は「こんなことはなかった」というほど落ち込んだ。
「特にひどかったのは三月。豊作に加え、不景気で企業関係の注文も少なかった」と市場関係者。三月の一キロ当たりの市場平均単価は前年比の七-八割にとどまった。
どうしてこれほどまで下落したのか。関係者の多くが理由の一つに「味」を挙げる。味がいまひとつだからリピーターが減り、量がどっと出てくる三月に注文が減ってしまったらしい。ではなぜ「味」がいまひとつに?
県土佐農業改良普及センターの田中満稔さんに尋ねてみた。
「十一年は梅雨がいつ明けたのかも分からないほど七、八月の天候が不順でした。十月になって天候に恵まれ糖度も高くなりましたが、酸もとても高かったんですね。さらに積算温度の低さなのか日照不足なのか、果肉がうんと堅く、バリバリしていました」
ここ五年の土佐市内での統計を基にすると▽八月の平均気温が高いと糖度は低く、七月に高いと酸が低くなる▽日照時間は七月に長いと酸が低く、十月に長くなると糖度が増す結果が出ている。
「十月の日照時間が糖度に影響を与えているのはまず言えるのですが、後ははっきりしません」
今後もデータを蓄積して要因の分析などを行うという。
さて、現在出荷されている十二年度作の出来はどうか。田中さんによると、
「梅雨明けは早かったんですが、十、十一月の天候不順で糖度はそれほど高くありません。ただし、酸が低く果肉も柔らかいので果汁が回って食べやすい」
しかし市場関係者によると、価格面は依然として振るわないようだ。
厳しい話はまだ続く。