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2021.09.26 08:00

【日米豪印会合】対中対話も欠かせない

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 日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国首脳による初の直接会合は、自由で開かれたインド太平洋の促進など連携を打ち出した。
 台頭する中国を念頭に、多分野で協力を進める。ただ、中国との向き合い方には各国に温度差も指摘される。毎年開催で合意した首脳、外相会合を軸に関係を強化し対策の実効性を高めることが欠かせない。
 中国の覇権主義的な行動が各国の警戒感を高めている。一方、こうした対応に中国が反発を強めることも想定される。摩擦は各国の利益につながらない。それを避けるために対話を重ねることが求められる。
 民主主義的な価値観を共有する4カ国が「クアッド」を構成した。中国を唯一の競争相手と位置付けるバイデン米大統領が主導した。
 退陣を表明している菅義偉首相の訪米は、対面式での会合を開催することで、中国に対する強い立場を確保したいバイデン政権の思惑がにじむ。日本側も、足並みをそろえることで日米同盟の強化を狙う。
 共同声明は、インド太平洋の安全と繁栄のため「威圧に屈しない、ルールに基づく自由で開かれた秩序を促進する」と強調した。また、中国が海洋進出を進める東・南シナ海では「ルールに基づく秩序への挑戦に対応する」とした。ただ、中国の名指しは避けている。
 インドにとって中国は最大の貿易国だ。関係悪化は避けたい思いが強く、対中けん制にやや慎重な立場を取る。日本にしても極度の悪化は望んでいない。まずはクアッドの組織固めを優先した対応を取ったということだろう。
 バイデン氏はアフガニスタン駐留米軍の撤退により、焦点をインド太平洋地域に移すと表明した。ただし米高官は、クアッドに対する中国の安全保障面での警戒感を打ち消す狙いから、この枠組みは地域の課題に取り組む上で重要だと訴える。
 共同声明には確かに、新型コロナワクチンの生産・供給の拡大や、半導体を含む技術・材料のサプライチェーン(供給網)確保、高水準のインフラ提供に取り組むことも盛り込まれている。連携強化が欠かせない課題であることは間違いない。
 中国が展開するワクチン外交や、巨大経済圏構想「一帯一路」への対抗策が模索されている。人権侵害も踏まえ、サプライチェーンの中国依存見直しが加速している。国際社会にアピールする意義も大きい。
 バイデン氏は先に国連で、「新冷戦もブロックに分かれた世界も求めていない」と演説した。だが、クアッドを含む多国間の枠組みを中国が包囲網と見ても不思議ではない。
 その一方で、アフガン撤退や米英豪の枠組み「AUKUS(オーカス)」を巡る潜水艦開発計画は、同盟国から反発や失望を招いてしまった。米国の協調主義が揺らぐ中、中国の環太平洋連携協定(TPP)加盟申請は波紋を広げている。
 こうした中、米中との関係を築いてきた日本の立場は重要だ。対話を主導する取り組みを進めたい。

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