2021.09.10 08:00

【緊急事態の延長】日程ありきでは駄目だ

 21都道府県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言は、19都道府県で12日の期限が30日に延長されることになった。
 高知など6県はまん延防止等重点措置を解除し、宣言から移る2県と合わせて8県は継続する。
 新規感染者は減少傾向にあるが、多くの地域で医療への負荷は高い状態にある。特に首都圏や近畿、中部の大都市部は病床使用率が高い。人出が想定される9月後半の連休への対応も怠れない。
 そもそも12日の期限設定には菅政権の政治的思惑も指摘され、その日程での全面的な解除には懐疑的な見方がされてきた。延長がまた繰り返されることになった。それが施策への信頼や期待感を薄れさせることを重く受け止める必要がある。
 こうした中、行動制限の緩和が論じられるようになった。
 ワクチン接種や検査の陰性証明を条件に、県をまたぐ出張や旅行、大規模イベント、飲食店での酒類提供も容認するという。
 11月には希望者全員への接種を終える意向で、接種により感染拡大が一定程度抑制できると期待される段階での導入を想定する。政府は、宣言下の地域でも条件を満たせば緩和対象としたいようだ。
 自粛を求められる生活が続き、日常生活の回復は見通せない。「やっても同じ」「やらないよりはまし」という冷めた声が聞かれる。飲食業や観光業も厳しい状況にある。施策への理解や協力が乏しく、人流の抑制は期待したほど進まない。
 このため、社会経済活動の再開への方向性を明確にして、感染「第5波」抑え込みの実効性を高めたいという考え方は分かる。
 ただ、性急な緩和には慎重論が根強い。制限緩和の方針が誤ったメッセージとならないよう、状況に応じて段階的に進めることが大切だ。
 感染対策と社会経済対策を両立させる難しさは、宣言が繰り返されることでも明らかだろう。観光支援事業「Go To トラベル」は地方経済の下支えを担ったが、感染拡大で運用を停止した。行動緩和も日程に縛られず、感染状況と科学的な知見に基づく判断が求められる。
 高知県は重点措置が解除される。引き続き警戒が必要なのは言うまでもない。
 この重点措置の適用に際し、県は正式に申請はしていなかったが国が加える判断をした。今回の解除では、感染者数はなお高い水準にあるものの、県は今後の推測などから解除を要請したという。
 この県の姿勢、対応は分かりにくい。県内の感染状況や医療の実情を把握した上で、感染拡大の阻止と県内の社会経済活動との兼ね合いを考慮して判断しているはずだ。国との対話もさることながら、県民に状況を説明して理解を求めていかなければ、対策への協力や効果は弱まりかねない。
 浜田省司知事が先頭に立って、県民にメッセージを伝える。解除でなおさら、その姿勢が必要となる。

カテゴリー: 社説

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