2024年 04月27日(土)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2021.06.06 08:33

ちいきのおと(23)夜須町千切(香南市)知る人ぞ知る“メダカの聖地” 

SHARE

県内各地のメダカ愛好家らが出店した4月の展示即売会。家族連れらでにぎわった(写真はいずれも香南市夜須町千切)


専門店の企画契機 愛好家 互いに品評 教え合う
 香南市夜須町千切のメダカ専門店を中心に、旧手結海水浴場跡地が知る人ぞ知る“メダカの聖地”になりつつある。店が今春、持ち込み式の展示即売会を開いたのがきっかけで、以来、愛好家らが毎週のように集い飼育談議に花を咲かせるようになった。新型コロナウイルス下の「巣ごもり」生活も、メダカ人気を後押ししているという。 

 4月中旬の日曜日、市マリンスポーツセンター近くの広場で開かれた展示即売会。ずらり並んだ水槽内を、全身が朱赤色の「楊貴妃」や、背中が青く輝く「幹之(みゆき)」などさまざまな品種のメダカが泳いでいた。来場した同市の男性(66)は「いろんな柄があって楽しゅうて、心が安らぐ。錦鯉を飼っていた父の気持ちが今になって分かるね」とにっこり。

 仕掛け人は千切出身で、広場そばで専門店「恭めだか」を営む山本恭一さん(38)=高知市。6年ほど前、ずんぐりしたメダカ「ダルマ」のかわいさに引かれてこの世界に足を踏み入れ、のめり込んだ。趣味が高じて3年前に販売を始めた。品種改良を手掛けながら30~50種、多い時で約1万匹を育てているという。

会場には「金魚すくい」ならぬ「メダカすくい」コーナーも


 即売会は販売目的というより、愛好家の交流を促して「高知のメダカ熱を高めよう」と初めて企画した。コロナを考慮して周知は口コミだけにしたが、県内各地の同業者や愛好家計7人が出店し、会場は想像を超えるにぎわいだった。

 観賞、改良、飼育と、メダカの楽しみ方は人それぞれ。金魚や錦鯉に比べて掛け合わせや繁殖がしやすく、品種も多いという。巣ごもりが長引く中、癒やしを求めて新たに飼育を始める人もおり、今は道の駅やホームセンターの販売コーナーもにぎわっているとか。山本さんは「自分に合ったものを探し、作り出せるのもユーザーが増える要因では」と話す。

 即売会はブームの時機も捉えたようだ。5月の週末も恭めだか周辺には人だかりができていた。店内のメダカを品定めする家族連れもいれば、広場で自ら飼育したメダカを見せ合う愛好家たちも。

 「○○品種との出合いが、この道に入った始まりでねえ」「3世代目でやっと、この柄に行き着いたがよ」。そんな会話に花を咲かせる。

愛好家の交流の場にと即売会を企画した山本恭一さん。日々、新たな品種改良に取り組んでいる


 山本さんに飼育方法を教わりに来る人も多く、中には「将来有望な」小中学生も。愛好家たちが年齢に関係なく教え合う様は、「めだかの学校」さながらだ。

 「命をつなげる楽しさ、厳しさを学べるのもメダカの魅力なんです」と山本さん。新しいメダカを生み出そうと日々、試行錯誤を続ける傍ら、今後も不定期で展示即売会を開いていくという。次回は7月18日。(香長総局・横田宰成)


《自慢のイッピン》
メロン100%濃厚な甘み「フレッシュジュース」

 道の駅やすの直販所「やすらぎ市」内にある「VEGE FRUTTA(ベジフルッタ)」は、メロン農家直営のジューススタンド。果物や野菜そのものの味が楽しめる生ジュースが人気だ。

 店のイチ押しはもちろん、自家製マスクメロンの果肉だけで作るフレッシュジュース(600円)。クリーミーな舌触りと濃厚な甘みがたまらない。

 他にも香美市物部町産のゆずスカッシュ(450円)、香南市野市町産のいちごヨーグルト(500円)など、カラフルなジュースがたくさん。同市の菓子工房とコラボしたメロンスイーツも販売している。

 目の前には夜須のマリンブルー。潮風を浴びながら、ぜいたくな一杯はいかが―。(香長総局・小笠原舞香)


《あの日あの時》
1961年 「芋洗い」の海水浴

 時代を感じさせるふんどし姿の子どもたち。海もビーチも芋洗い状態だ。

 旧夜須町刊行の「夜須 今昔写真集」からの1枚。1961(昭和36)年7月の旧手結海水浴場だ。当時の土佐電鉄安芸線手結駅から直接行くことができ、県内では種崎海水浴場(高知市)と人気を二分していた。

 ハマグリも採れた豊かな浜では日焼け自慢大会や「喫煙競泳大会」などユニークな催しも。地元で料理店を営む武村光さん(69)は「夏の電車は乗客が鈴なり。海にあった飛び込み台はよう台風で流されよったね」と懐かしむ。

 今は香南市のマリンスポーツセンターが整備され、ヨットの聖地に。「ヤ・シィパーク」とともに「マリンタウン夜須」を発信している。(横田宰成)


《ちょっとチャット》
村上杏さん(14)夜須中3年

 香南ジュニアヨットクラブに所属。週末に夜須の海で練習してます。初出場した公式大会は、2年前に地元で開催された全国中学校選手権。競技歴3カ月で完走できたのは驚きでした。クラゲやべたつきが苦手で海水浴はしたことないけど、カヤックやサップは好き。地元にマリン拠点があるのはうれしいですね。


 千切地区は夜須村、夜須町を経て2006年に香南市夜須町千切となった。土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線「夜須駅」が立地。坪井地区にまたがる「ヤ・シィパーク」や、市マリンスポーツセンターを擁する海のレジャー拠点として知られる。21年4月末現在、199世帯388人。

高知のニュース 香南市 観光 ちいきのおと

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月