2020.03.23 08:34

【読もっか いのぐ】観光施設×避難タワー 高知大・大槻准教授が提案

写真1
写真1
災害用?いえ、普段から使います
 写真1は高知県土佐市新居、仁淀川河口の津波避難タワー。海抜23メートル、50人が逃げ込めます。では写真2は? 実はタワーにつながっている観光交流施設「南風」です。

写真2
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 これ、どういうこと? 「災害時しか使わないもの」に大金を使うのは、負担と感じることもあります。それを「普段使うもの」にしてしまえば負担感も軽くなり、災害への対応力も増す―こう提案するのは、高知大学防災推進センター・大槻知史准教授。
 
高知大学防災推進センター・大槻知史准教授
高知大学防災推進センター・大槻知史准教授
 2019年度の防災いのぐ記者、最後の授業は大槻准教授の話に耳を傾けました。(新田祐也)
 
 「家庭で、防災用品にいくらまで出せる?」と問う大槻准教授。「災害用」「普段使うもの」を別に買うのは負担―いのぐ記者にはそんな表情も。
 
 解決策は、災害時も普段も同じものを使うこと。「ローリング・ストック」といいます。一つは、普段から少し多めに食料品などを買い、使い切る前に買い足し続けること。これで一定の量を常に家にためておけます。これが一般的な個人備蓄になりつつあります。
 
 「災害用」を「普段使うもの」にする。この考え方をもう少し広げ、会社で、地域でできないか―。それが大槻准教授の提案。
 
 例えば、避難所の質向上には車載型水洗トイレが必要です。が、費用がかさむため、導入は進んでいません。そこで災害時だけではなく、よさこい祭りなどのイベントで毎年使う。
 
 大槻先生は「これは、使う人の防災意識の向上にもつながる」。県内の会社経営者らに、こうした提案をしています。
 
 土佐市新居の避難タワーも同じ考え方。つながっている観光交流施設は1階は直販市、2階はカフェ。若者の姿もあり、2019年度は5万人近くが利用しました。しかもタワーからいつでも、太平洋が“展望”できます。防災、観光両面の課題解決として「一体で整備」した土佐市も、「タワーが施設の魅力向上につながっている」と話します。

 ほかにもこうした取り組みが。紹介しましょう。
 
 
【山口の避難場所には巨大遊具】
山口県防府市は、「災害時の一時避難場所を、公園として普段使いする」という発想で港に施設を造ります。今年の夏、完成です=写真はイメージ図。
 
 「防災公園というと広場、倉庫くらいで普段使いづらい」(防府市の担当者)。なのでシンボルを造ります。高さ11メートル、全長20メートルという巨大な魚型遊具。「近くの道の駅と併せ、にぎわいを生みたいと思った」そうです。
 
 魚型遊具は“2階建て”。“2階”はトランポリン、壁のない“1階”はおおうと仮設テントに。太陽光発電の外灯は充電器にもなり、施設全体で150人が収容できます。
 
【四万十市は大型ヒーター常用】
 2019年度、高知県四万十市は豪雨や地震、津波の際に避難所となる施設26カ所に、扇風機、19カ所に大型ヒーター=写真=を備えました。
 
 しかも集会や式典などで、日常的に利用することも可能としました。「普段から使うことで、故障にも気付ける」といった理由からです。
 
 その一つ、中筋中学校にはそれぞれ2台あります。扇風機は夏のスポーツ練習に、大型ヒーターは卒業式など冬の式典で活用。田辺長美校長は「以前使っていた教室用のストーブに比べ強力。使い慣れれば、いざという時も大丈夫ですね」
 
【いのぐ記者は「ホテル」提案】
 大槻准教授のアドバイスを受けながら、いのぐ記者たちも「普段使い」をいくつか提案。その中から一つを紹介すると―。
 
 注目したのは車載トイレ、キッチンカー、仮設のお風呂など。避難所を快適にするには不可欠の設備です。
 
 これらが移動可能ということで、キャンピングカーと併せて、「Moving Hotel」という普段使いを考えました。
 
 アウトドア好きにPR。四季折々、その季節にふさわしい場所で営業します。もちろん、「いざ災害が起きれば被災地へ駆け付けます」。
 
 
【高知新聞社】2020年度「防災いのぐ記者募集」
 
高知新聞社は高知県内の中学生を対象に、2020年度の「防災いのぐ記者」を募集します。 
 
 体験学習や講座など1年間の学びで、次世代の防災リーダーを育てる事業。本社の防災プロジェクト「いのぐ」の一環として17年に始まり、ことしで4年目。
 
 2020年度の学びは4月下旬にスタート。活動は随時、高知新聞社の記事として掲載します。夏休みには代表4人を東日本大震災の被災地へ派遣。現地での学びを、紙面でリポートしてもらいます。
 
 活動にお金は一切掛かりません。ご応募お待ちしています。
 
2020年度の「防災いのぐ記者」の募集要項は以下の通り。
 【活動内容】年間10回程度の研修会への参加(過去の研修会=災害食作り、応急処置体験、防災用具の活用訓練、災害ボランティアの仕組み学習など)、代表者による東日本大震災の被災地での学習とレポート、など。
 【活動期間】2020年4月から2021年3月末までの1年間(中学校在学中は継続可)
 【定員】30人程度 ※応募者多数の場合は登録申込書の志望動機などを参考に選考する場合があります。
 【応募資格】2020年4月時点で、高知県内の中学校に在籍している生徒。
 【第1回研修会】日時=4月下旬、高知市本町3丁目の高知新聞社で予定。防災の基礎知識を学び、いのぐ記者同士の親交を深めます。
 【応募方法】高知新聞ウェブサイトにある応募フォームから。もしくは専用の登録申込書に必要事項を記入し郵送してください。
<応募フォームはこちら> 
<登録申込書はこちら> 
 【締め切り】4月17日(金)必着
 【応募・問い合わせ先】〒780―8572 高知市本町3の2の15、高知新聞社読もっかNIE編集部「防災いのぐ記者」係(電話088・825・4081=平日午前10時~午後6時)

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カテゴリー: 社会いのぐ災害・防災

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