過ぎし日の映え
高知市出身の作家、野田正彰さん敗戦後の少年時代から青壮年期へと自身の足跡をたどり、どのように思索し、対話し、生きてきたかを記すセッセイ。
37記事
過ぎし日の映え
高知市出身の作家、野田正彰さん敗戦後の少年時代から青壮年期へと自身の足跡をたどり、どのように思索し、対話し、生きてきたかを記すセッセイ。
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野田正彰氏「過ぎし日の映え」(27)精神病者を見張る警察
挿絵・宮川優希 1975年、精神科医になって6年、長浜赤十字病院で仕事を始めて5年。外来も入院治療も、地域精神医療も充実し多忙になっていた。病棟を閉ざされた施設としない、地域と交流し、地域に支えられた...
野田正彰氏「過ぎし日の映え」(28)出掛けて、見て、考えろ
挿絵・宮川優希 京大人文科学研究所西洋部は東山通りをはさんで、京大正門通りと向かいあって建っていた。北側はフランス知識人の来日講演がよく開かれる日仏会館、後方西側にはイタリア会館があった。カフェとパス...
野田正彰氏「過ぎし日の映え」(29)ムラの恥を外に出すな
挿絵・宮川優希 1976年夏、奈良県立医科大学の有岡巌教授(大阪大卒)より、こちらの大学へ来てくれないか、と呼ばれた。病棟での不祥事が続いており、入院患者による暴行、それを抑えようとした看護師(男性)...
野田正彰氏「過ぎし日の映え」(30)文革後の中国を歩く
挿絵・宮川優希 中国民航CA926は夕暮れの空に向かって離陸した。飾らぬ清潔な機内。化粧をしていない、あるいは薄化粧のスチュワーデスは清楚で美しい。初めて革命中国、共産主義圏の女性を見る。くっきりとし...
野田正彰氏「過ぎし日の映え」(31)権力空白地への潜入
挿絵・宮川優希 1979年10月末、韓国の朴正煕(パクチョンヒ)大統領が側近の中央情報部長に射殺された。朴は61年5月に軍事クーデターで権力を掌握して以来、民主化運動を弾圧し、ベトナム戦争に参戦したり...
野田正彰氏「過ぎし日の映え」(32)狂気の起源をもとめて
挿絵・宮川優希 パプア・ニューギニア、首都ポート・モレスビー。白いペンキが剥げかけたボロコホテルの一室で目を醒(さ)まし、7時すぎに食堂に下りていく。いつも通りパパイア(彼(か)の地のピジン英語でパオ...
野田正彰氏「過ぎし日の映え」(33)人間平等社会への郷愁
挿絵・宮川優希 人間の精神とは何か。精神はどこに在るのか。精神はどこから来るのか。 脳にある、大脳にある、大脳と身体全体の神経系や内分泌との交流にある。そう答えるのなら、あまりにも表層的である。精神は...
野田正彰氏「過ぎし日の映え」(34)ダイヤモンドは永遠に
挿絵・宮川優希 1980年5月、パプア・ニューギニアの調査から帰国後、いつもの診療をこなしながら、執筆に追われた。『狂気の起源をもとめて』を翌年7月に出版、『錯乱と文化』は80年に執筆編集を終えた(翌...
野田正彰氏「過ぎし日の映え」(35)精神的危機の叫び
挿絵・宮川優希 同じ職業でも、どのような社会で、いつの時代に、その職業を選んだかによって人の生き方は大きく変わる。私が精神科医への道を歩み始めたのは1960年代末。権威的で保守的な医学界の制度が問い直...
野田正彰氏「過ぎし日の映え」(36)戦争と革命を生きた陳真
挿絵・宮川優希 パプア・ニューギニアでの比較文化精神医学の調査は、石器時代を生きている部族民が数千年の時間を飛び越えて現代の西欧文明に接触すると、どのような反応をするか、いかなる精神症状を表すか、周囲...
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