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2024.12.18 08:36

子ども絶叫、主役奪う 光った君へ… 室戸支局―ニュース忘年会(7)

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イラスト・竹内宏樹

イラスト・竹内宏樹

 支局生活も4年目。顔も売れ、取材に行くと「プロのカメラマンが来たぞー」ともてはやされる。「別のアングルないの?」「撮り直して」。送った写真に上司の小言が並ぶ時もあるが、自称プロの必需品はストロボだ。野に咲く花、海山川の幸、地域のマダムたちのお肌―。一瞬の閃光(せんこう)は、被写体をより明るく、美しく際立たせてきた。この夏以外は。

こちらの記事のこぼれ話です↓
◆ホラー満載!夜の学校 むろと廃校水族館できもだめしイベント 高知県室戸市
◆怖すぎて無理? 肝試しイベントに30人絶叫 東洋町

□こっち見ないで
 8月中旬。室戸市のむろと廃校水族館で肝試しがあった。黒板消しが勝手に動いたり、不気味な人体模型が置かれた教室を歩き、スタッフ扮(ふん)する怪しげな生き物が登場するイベントだ。

 狙うは怖がる子どもたちの表情。いつも通り構図を決め、ストロボの光量を調整。準備万端で、最初の家族連れをパシャリ。

 「きゃー!」「何!?」

 ん? 何かがおかしい。慌てて写真をチェック。映っていたのはカメラ目線の写真ばかり。紙面には使えない。

 ストロボをオフにしてみる。シャッタースピードが遅くなり、驚いた表情がぶれる。上司の険しい顔が浮かぶ。とにかく撮り続けるしかない。

 こっちを見るなよ。見るな、見るな…。「あそこ、何かおる」。私の体からにじみ出る怨念を感じ取ったのか、次の子どもは、撮影前からこちらを凝視していた。

 紙面を飾ったのはお化けを横目で見ながら通り過ぎる母子の姿。恐怖の表情とは程遠く、ほのぼの感すら漂う。残念な成果を前に、リベンジを誓った。

□指先ぷるぷる
 数日後、私は東洋町の肝試しの現場にいた。このイベント、ホラー映画の幽霊や妖怪になった大人たちが本気を出すため、初開催の昨年はあまりの怖さにリタイアが続出した。絶叫顔、今度こそ。

 神社の木陰から長髪の女が飛び出すスポットへ。お化けたちは確かに怖い。

 作戦は“一撃必中”。ストロボが光るのは仕方ない。なら、最初の1発で必ず仕留める―。シンプルすぎるが、これしかない。獲物を狙うハンターばりに茂みに隠れた。

 今回の参加者は5組。怖さからか、少ない。指先がぷるぷる震え始めた。緊張のあまり、お客さんがお化けの前を通りかかる少し手前でパシャリとやってしまった。

 「ぎゃー!」。突然の光に子どもたちが叫びまくる。ワンテンポ遅れて登場する長髪のお化け。懐中電灯を提げた親御さんは「あ、いたのね」。肝心の写真は撮れず、イベントの邪魔者にもなりかけた。

 絶叫の大半をかっさらったストロボ。記者泣かせ、お化け泣かせだが、ふと気づく。肝試しの仕掛けとして、逆にうってつけなんじゃ? 来年はお化け役で出てみよう。(板垣篤志)

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