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2024.05.05 05:00

小社会 権利条約30年

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 今はさすがに男子生徒の丸刈りを定める中学校は県内にないが、1980年代は珍しくなく、90年代前半にかけて見直しの波が押し寄せた。

 そのうちの1校に伊野中がある。94年春、入学式に新入生50人が抗議のため長髪で出席し、父母もビラを配ってニュースになった。学校は風紀の乱れなどを懸念したが、話し合いの末、半年後に長髪を認める。当時盛り上がった校則改革の代表例として注目された。

 それらの動きの背景にあったのが「子どもの権利条約」だ。子どもが権利を持つ主体だと認めるこの条約は国連で89年に採択され、伊野中入学式と同じ94年春、日本で批准された。それから30年。画期的と言われた条約の理念はどれだけ浸透しただろうか。

 少なくとも校則という点ではまだまだかもしれない。学校の管理志向は根強く、世の中が複雑になった分、むしろ決め事が増えたと指摘する民間団体もある。文部科学省は一昨年、学校に子どもの意見を聞くよう生徒指導の手引を改めたが、これは不合理校則が続いてきた裏返しだろう。

 抑圧された状況に慣れた子どもは声を上げられない大人になるかもしれない。そんな識者の指摘にうなずきつつ、わが家の現実に目を移せば、ゲームと動画を求めてスマートフォンを手放そうとしない子どもの「権利」が悩ましかったりもする。

 きょうは「こどもの日」。節目の権利条約と向き合うのにふさわしい日でもある。

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