2024.04.29 08:00
小社会 1990年
B・B・クィーンズの「おどるポンポコリン」。この年、放送が始まったアニメ「ちびまる子ちゃん」のテーマ曲で、共に大ヒットした。本県ゆかりのミュージシャン、織田哲郎さんが作曲を手掛けた。
アニメの原作者、さくらももこさんによる歌詞も強烈だった。何が言いたいのかさっぱり分からないのに、間に〈♪タッタタラリラ〉と流れるものだから、つい乗ってしまう。バブル経済のさなか。世の中の雰囲気を表していたのかもしれない。
この年は「新語・流行語大賞」も「ちびまる子ちゃん(現象)」が金賞を獲得する。ただし受賞が米紙の記者だったのは語り草だ。ちびまる子ちゃんを通して、浮かれる日本社会を報告した。翌年には東京にディスコ「ジュリアナ東京」が開業し、浮かれの象徴となるが、バブルははじける。
円相場は同じでも、そんな時代といまの社会は大きく事情が違う。欧米は34年間、賃金も物価も上がり続けたのに、バブル後の日本は横ばい。日本ではいま、円安、物価高が食卓に重くのしかかる。
「おどるポンポコリン」は最後にこう曲を締めくくる。〈♪ピーヒャラ ピ お腹(なか)が減ったよ〉。昔は浮かれ、踊っておなかが減った。さて、この先は…。