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2024.04.26 08:00

【県内人口減少】危機感持ち対策加速を

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 高知県の人口が4月1日時点で、65万9592人となったことが県の推計で分かった。1年間で1万人近く減った。
 また、民間組織「人口戦略会議」も、2050年までに県内25市町村が「消滅の可能性がある」との推計を示した。
 歯止めがかからない人口減少のペースをどう鈍化させるのか。細る地域をどう持続させていくのか。県内自治体は改めて危機感を持ち、取り組みを加速させる必要がある。
 県人口は、88万人を超えていた1955年をピークに下降をたどる。90年から死亡数が出生数を上回る「自然減」が始まり、2005年に80万人、19年の推計人口で70万人をそれぞれ割り込んだ。
 66万人を割り込んだ主な要因も同じだ。高齢化率が上昇し続ける一方で出生数は減少傾向が続く。当面の減少は避けられない。
 加えて、転出が転入を上回る「社会減」の拡大も追い打ちをかける。
 23年度は1801人で、22年度を1500人近く上回った。22年度は新型コロナ禍に伴う水際対策が緩和され、外国人の実習生や留学生の転入が進んだが、23年度はその影響が薄れ、経済の回復が続く都市圏への流出も増えた。期待された地方回帰の流れは弱まり、東京圏への一極集中が再加速している。
 転出するのは進学や就職による若い世代、特に女性が目立つ。希望する職種やより高い賃金、よりよい労働条件を期待できる都市圏へ向かうという。
 若い女性の流出傾向が続けば、子どもの減少にもつながる。地域社会を支える人手が不足し、維持も困難になりかねない。女性が将来に希望を持てる環境を整えることが、少子化に歯止めをかける鍵を握る。
 若い女性の流出などで後手対応が指摘されてきた県は24年度から、人口減少対策を最重要課題に位置付けている。対策を網羅する「元気な未来創造戦略」は、県内事業者の魅力向上や住民参加型の子育てしやすい地域づくりなど若者、特に女性の流出対策を意識した内容で、若年人口の増加により、持続可能な人口構造への転換を図りたいとする。
 併せて、市町村が地域の実情に応じて施策を進められるように総合交付金も創設した。
 交付金も含めて施策の多くは市町村が主体だ。市町村が創意工夫を凝らさなければ、単なるばらまきに終わる。市町村の実行力と県のサポートで速やかな成果が求められる。
 戦略では、若年人口の前年比の減少数ゼロ▽人口の社会増減プラス▽出生数4200人―など野心的な目標を掲げる。実現に向け、取り組みの継続的な検討と検証が不可欠だ。
 もちろん県だけの力では限界がある。安倍政権がうたった「地方創生」は看板倒れに終わった。「次元の異なる少子化対策」を掲げる岸田政権だが、東京一極集中の是正には問題意識が伝わってこない。若者の流出が進む地方の現実も見つめた政策の提示を求める。

高知のニュース 社説

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