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2024.04.22 08:00

【巨大IT規制】ゆがむ競争食い止めたい

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 スマートフォンやインターネットを使ったサービスはいまや生活に欠かせないインフラの一部といえる。その市場が特定の巨大IT企業によって支配されるようでは、安心して利用できない。
 市場の独占を防ぎ、いかに利用者サービスを向上させるか。より便利で高度なインフラにできるか。私たちの社会はいま、重要な局面を迎えている。
 公正取引委員会が今国会に提出を目指す「スマホ特定ソフトウエア競争促進法案」を自民党に示した。
 巨大ITに対し禁止・順守事項をあらかじめ規定。スマホ用アプリを取り扱うアプリストアや決済システムの運営では、競合他社の利用を妨げたり、差別的な取り扱いをしたりしないよう義務付けた。
 違反した場合は国内での関連売上高20%分の課徴金を科す。改善が見られなければ30%に引き上げることもできるようにした。
 先行する欧州連合(EU)は今年3月から「デジタル市場法」を全面適用。違反企業には、最大で全世界の年間売上高10%の制裁金を科すようになった。
 日本では現行、独禁法が一定の競争制限行為を「排除型私的独占」として禁止。違反者には売上高6%分の課徴金を科すことにしている。EUなどが規制を強化する中、日本も歩調を合わせたかたちだ。
 スマホを巡っては、スマホを動かす基本ソフト(OS)が米巨大ITのアップル製とグーグル製にほぼ二分されている。このためアプリを開発しても、アプリストアでの販売条件や手数料が両社優位になりやすかった。
 こうした状況が続けば、良質で安価なアプリ開発が妨げられ、結果的に利用者の損失につながりかねない。社会のスマホやネットへの依存度は増しており、監視・規制の強化は世界的な流れといってよい。
 折しも日本では、グーグルがLINE(ライン)ヤフーの「検索連動型広告」事業の一部を制限していたことが明らかになった。これもゆがむ競争を象徴している。
 検索連動型広告は、検索サイトで入力した言葉に関連する商品などが表示される。やはりグーグルは圧倒的なシェアを占め、ヤフーが追う構図にある。
 ただ、ヤフーは検索サイトに競合相手のグーグルの技術を活用。代わりにグーグルがヤフーの検索連動型広告事業を制限する契約を結んでいた。公取は、市場でグーグルの独占を招きかねないと問題視。グーグルが改善計画を提出した。
 巨大ITを巡ってはこれまでも、運営サイトなどでの自社サービス優遇や、利用者の同意なくデータを収集して興味関心に沿った「ターゲティング(追跡型)広告」を表示することなどが問題となってきた。
 寡占企業本位のサービスにさせないためにも、ゆがむ競争を食い止めなければならない。望ましいサービスや公正な競争環境の在り方について論議を加速させる必要がある。

高知のニュース 社説

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