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2024.04.17 05:00

【進む円安ドル高】暮らしへの影響回避を

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 円安は外国から輸入する原油や食料品の価格を押し上げ、物価高に苦しむ家計を圧迫してきた。一段の円安がマイナスの影響を強めないよう警戒が必要だ。
 外国為替市場で円安ドル高水準の更新が続いている。円相場は1ドル=154円台を付け、34年ぶりの円安水準となった。
 先週発表の3月米消費者物価指数が市場予想を上回り、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを先送りするとの観測が一段と強まった。米長期金利が上昇し、日米金利差が開いた状態が当面続くとの見方から、ドル買い円売りが進んだ。
 また、週明けには3月の米小売売上高の結果が市場予測を上回り、米経済の堅調さが改めて鮮明となった。FRBは年内に3回利下げするとの予測を維持するが、早期利下げが遠のいたとみて、より高い運用利益を見込めるドルを買い円を売る動きが加速した。
 さらに中東情勢が影響する。イランのイスラエル報復攻撃で緊迫の度を増している。原油価格が高止まりすれば米国のインフレ沈静化は見込めず、利下げが先送りされるとの観測から円売りにつながった。
 日経平均株価はきのう、大幅続落した。中東情勢への警戒感や早期利下げ開始観測の後退から米国株が下落した流れを受け継いだ。
 日銀はマイナス金利政策を解除後も緩和的な金融環境を続ける方針を示している。FRBが利下げしなければ日米金利差の大幅な縮小は見込めない状況だ。
 こうした金利差をにらんだ動きがある一方、日本政府・日銀による為替介入への警戒感も強い。鈴木俊一財務相は、必要に応じて万全の対応をすると円安の進行をけん制する発言を続けている。
 ただ、今回の円安が進む過程では円買い介入に直ちには踏み切らなかった。米国経済が堅調なことに伴うドル高に対して介入の効果は限定的と判断したようだ。とはいえ、一段と円安が進むようでは介入を避けてはいられなくなる。
 先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が週内に開かれる。鈴木氏は、過度な円安の動きへの懸念を表明する考えを示した。介入の根拠となり得る為替安定への合意を確認したいとみられる。
 日本の全国消費者物価指数は2月まで30カ月連続で前年同月を上回った。一方、物価変動を考慮した実質賃金は2月でマイナスが23カ月連続となった。現金給与総額は26カ月連続でプラスだが、実質は物価高騰に追いついていない状況だ。
 今春闘は大企業を中心に賃上げが相次いだ。中小企業にどこまで波及できるかや、持続的な賃上げが実現できるかが焦点となる。
 日銀は賃金と物価がそろって上昇する好循環が見通せる状況になったと判断し、17年ぶりに利上げに踏み切った。急激な変化を避け、緩和的な政策を続ける姿勢だが、金利差がのしかかる。景気を冷やさない慎重なかじ取りが求められる。

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