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2024.04.17 08:00

小社会 改革とピエロ

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 政治改革といえば、自民党の伊東正義元外相の名がいまも残る。清廉なイメージ、会津の硬骨漢。1989年、リクルート事件で退陣する竹下登首相に後継を望まれたが、「表紙だけ替えても駄目」の名せりふで総理のいすを蹴った。

 伊東氏はもう一つ、要職への就任に難色を示している。政治不信を受け、政治とカネの透明化などをうたった党の政治改革大綱。それを実行する推進本部長に推されたが、党幹部との温度差が気になった。「どいつもこいつもやる気なんかあらせんわ」

 後藤田正晴元官房長官の回顧録に説得する場面がある。「だけど放っておくわけにはいくまいな」「ピエロになるかもしらんよ。しかし、なっても無駄ではないと俺は思う」。伊東氏は「ピエロな、ピエロな」と繰り返して引き受けたという。

 不信の深刻さでいえば、いまの政治状況は当時と酷似してはいないか。自民党の裏金事件。物価高に加え新たな負担増も見えてくる中、世間の視線は厳しい。

 衆参両院が政治改革特別委員会を設置した。お題は「ザル法」といわれる政治資金規正法の改正になる。連座制の導入をはじめ、抜け道をふさぐ結論は導けるのかどうか。

 91年に来高した伊東本部長はこう熱弁を振るっている。「政治家は免れて恥なし、では駄目だ。疑わしきは黒、というぐらいの高潔さが求められている」。いまの自民党に改革をあおるピエロがいるのかも気になる。

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