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2024.04.14 05:00

【政治資金法改正】不信の深刻さを自覚せよ

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 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、国民の政治不信は頂点に達している。「ザル法」といわれる政治資金規正法の抜け道をふさぐ真摯(しんし)な姿勢を求める。同時に、一向に進まない真相解明もうやむやにしてはならない。
 与野党が衆参両院に政治改革特別委員会を設置した。規正法改正の議論が本格化するのは大型連休明けになる見通しで、6月の国会会期末までに合意できるかが焦点になる。
 規正法には、「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」目的と、「いやしくも国民の疑惑を招くことのないように」との基本理念がある。これほど法や国民への背信行為が絶えない状況だ。論点は多岐にわたる。
 連座制の導入は当然の改革になる。現行法は収支報告書の不記載などに会計責任者の罪を定めるだけで、政治家の共謀も立証が難しいとされる。裏金事件でも責任の大半は会計責任者や秘書が負わされた。
 しかし実際にカネを集め、使っているのは議員本人であり、罰則の対象が事務方だけなのはおかしい。報告書の不記載などが立件された場合に、「トカゲのしっぽ切り」に終わらない規定を国民は求めている。
 リクルート事件に端を発した30年前の政治改革で禁止を目指したはずの企業・団体献金も論点になる。野党側は政策決定がゆがめられるとして禁止を訴える一方、岸田文雄首相は「企業は寄付の自由を有する」と折り合っていない。
 政治資金パーティーの規制強化も問われる。野党側は開催の全面禁止や企業・団体によるパーティー券の購入禁止を要求。与党の公明党は購入者の20万円超から5万円超への公開基準引き下げを主張している。
 ただ、金権腐敗を根絶しようとした30年前の趣旨を考えれば、「抜け穴」となってきたパーティーは全面禁止が議論されて当然だろう。
 さらに自民党では幹部らが、国会議員関係政治団体から支出の公開基準が緩い「その他の政治団体」に巨額の資金を流し、使途の詳細がほぼ分からなくなる処理も行っていた。
 政策活動費も党幹部への支出が年間10億円を超すこともあり、使途を明かす必要がない「巨額の合法的裏金」との批判が強まっている。
 いずれも「国民の疑念を招くことのないように」という法の理念を踏まえ、国民が監視しやすい仕組みの構築、透明化が求められる。
 裏金事件の真相解明も忘れてはならない。岸田首相は安倍派幹部らの一斉処分を一区切りとし、制度改正論議に注力したい考えとされるが、国民の疑念は解消には程遠い。
 誰が、いつから主導したのかに加え、自民党議員らによる本当の使途も解明されていない。なぜ政治に金がかかるのか、裏金は何に使われたのかを究明することは、政治の在り方を問うことにもなろう。
 国民の政治不信の深刻さを自覚した議論が求められる。問題の本質に踏み込まないお手盛りの改革では、不信の払拭はあり得ない。

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