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2024.04.13 05:00

小社会 曙さんの訃報

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 土佐ノ海らが活躍していた20年余り前、取材で両国国技館によく通った。記者室のテレビ前には、引退したばかりの曙親方がたまに取組の解説役で座っていた。人懐こい笑顔。大きな体で記者2、3人分の席を占領していた覚えがある。

 1990年代、人気絶頂の若乃花、貴乃花兄弟の好敵手。人によっては悪役に見えただろう。長身から繰り出す突き、押しは憎らしいほど強かった。ただ、入門時は手足の長い体格が相撲に向かないとみられていたという。

 同期生、若貴とのライバル関係は88年の初土俵から始まった。序ノ口で当時の貴花田に勝ったが、「こいつについていけば番付があがるという目標ができたのは大きかった」(朝日新聞be編集部「逆風満帆」)。

 けがで休場が続いた時期、「横綱とは何か」を考えたと自伝にはある。書物を読むと、力人(ちからびと)=横綱は神様だという。しかし、けがをして自分はただの人間だと気がついた。「綱が神様なのであって…人間である自分は日々精進して、自分自身を磨いていかなければ」。ハワイ出身にして、既に日本の心を感じさせる話だ。

 国技館で見かけたのは、いま思うと格闘家転向の直前だった。豪快にKOされる場面も見た。それでも貴乃花と21勝21敗のライバル物語、人懐こい笑顔は色あせるものでもない。

 曙太郎さんが54歳で亡くなった。昨今の下克上もいいが、上位陣が憎らしいほど強い大相撲も懐かしい。

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