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2024.04.06 08:00

小社会 道がつなぐもの

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 「東京から時間距離が一番遠い市」と言われる土佐清水市は、筆者のふるさとでもある。40年前は高知市まで車で4時間かかり、小学校の修学旅行は高知城や龍河洞だった。今なら「旅行先が県内?」と驚かれるが、往事の道路事情を物語るエピソードだ。

 「私がおった頃はもっと大変でしたよ」と話すのは県OBの榎並谷哲夫さん(86)。1968年に土佐清水土木事務所に赴任した時は高知市から車で5、6時間。「未舗装でぐにゃぐにゃの峠道ばかり。島流しかと思うた」と笑う。

 その後、県庁で道路畑を歩み、土木部長も務めた榎並谷さんは、高速道路の整備促進に力を入れた。歴代知事も県政の重要課題に位置付け、87年開通の大豊―南国間を皮切りに高速は県土の西へ東へと延びた。

 「地方の道路は税金の無駄」という都市部の世論もあって、整備のスピードは遅かった。それでも最初の開通から37年。奈半利―安田間と宿毛和田―宿毛新港間に今月1日、国の調査設計予算が付き、県内高速の着手率はついに100%に達した。

 「自分の目の黒いうちに100%まで行くとは。夢のようです」。榎並谷さんは深い感慨を込める。

 道は地域と地域、人と人をつなぎ、世界を広げる。今や県都とふるさとの間は車で2時間半に短縮された。私事ながら、実家の父が危篤になった際は高速のおかげで死に目に会えた。母校の小学校の修学旅行先は広島や岡山になっているそうだ。

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