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2024.04.06 08:00

【台湾地震】日本の支援も力になる

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 台湾を3日に襲った大規模な地震は、多数の死傷者が確認され、なお連絡が取れなかったり取り残されたりした人もいると伝えられる。被害軽減や生活支援、速やかな復旧・復興が求められる中、友好関係にある日本もできる限り支えたい。
 地震は台湾東部沖を震源とし、日本の気象庁の推定でマグニチュード(M)7・7とされる。震度6強と最も揺れの大きかった中部の花蓮市などで被害が大きく、犠牲者は10人を超え、千人以上が負傷した。
 揺れで大きく傾いたり倒壊したりした高層建築物や、山肌が崩れ落ちる様子を報じた現地映像が、地震の怖さを物語る。台湾では、死者2400人超、負傷者1万人超を出した1999年の中部地震以来の規模になるという。
 台湾は、西のユーラシアプレートと東のフィリピン海プレートがぶつかる位置にあり、日本同様に地震多発地帯だ。99年の地震を機に、建物の耐震基準の見直しなど地震対策は強化された。ただ、古い建物の更新は遅れ、違法建築も絶えないなど備えが進んでいたとはいえず、被害が広がった可能性も否定できない。
 震源周辺の地下はプレートが重なる複雑な地下構造で、今後も大地震が続く恐れも指摘される。台湾当局は、抜本的な防災対策の強化を改めて迫られる。
 日本は台湾と正式な外交関係はないが、過去の地震発生時には支え合ってきた経過がある。
 台湾の99年の地震に対し日本は救助隊をいち早く派遣。阪神大震災を教訓にした災害医療、消防のノウハウや仮設住宅を提供した。2011年の東日本大震災では台湾からの義援金が約200億円もの巨額に達し、その厚意が被災者を勇気づけた。
 1月の能登半島地震でも25億円の義援金が石川県に寄せられた。こうした関係の積み重ねから今回、日本側の交流サイト(SNS)には、台湾支援の呼び掛けが多数書き込まれるなど機運が高まっている。
 政府は、要請に応じて支援を行う考えを示す。台湾の対日感情を踏まえれば、日本からの応援が被災地の力になるのは間違いない。良好な関係を深めていけば、災害時の相互支援にとどまらない双方の利益にもつながるだろう。
 台湾統一へ圧力をかける中国は、被災地へ「お見舞いを申し上げる」とし、救援の意向を示した。しかし台湾側は申し出を断ったという。緊張は高まるのか緩むのか、中台関係に及ぼす影響も注目される。
 今回の地震で気象庁は沖縄本島地方などに一時、津波警報を出した。被害はなかったが、交通や住民生活が混乱して影響が出た。専門家は「M7級は津波を引き起こす十分な規模」とする。沖縄県付近は歴史的にも津波被災を繰り返してきている。防災意識を再確認したい。
 南海トラフ巨大地震の被災が予想される本県などの地域も、対岸の火事と無関心でいられない。揺れの対応も含めて、自分事として捉えることができるかが問われる。

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