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2024.04.02 08:00

小社会 高知暮らし

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 イタドリを採りに行ってきたよと人から聞く季節になった。店にタケノコやワラビも並び始めた。こうなると自分も山に出かけたくなって仕方がない。田舎者のさがである。

 そんな興奮も、田舎暮らしの特権だろうか。少年時代を高知で過ごした寺田寅彦が随筆に書き残している。「大きな虎杖(いたどり)を見付けて折り取るときの喜びは都会の児等の夢にも知らない、田園の自然児にのみ許された幸福であろう」と。

 高知の山はいま、桜だけでなく足元も山菜で春らんまん。花の春なら都会でも満喫できるが、地方の春はもっと豊かで深い。ぜひ、それも満喫できる新生活を送ってほしい。きのう、県内の多くの企業や役所が新入職員を迎えた。

 都会に出れば待遇のよい就職先がたくさんある中で、高知に残ってくれた。Uターンや移住をしてくれた。そんな皆さんを心から歓迎したい。地方は人口減少が進み、地震など災害も多い。正直、乗り越えるべき課題はたくさんある。だからこそ余計に皆さんの選択は心強い。

 もちろん地方の生活は「守り」だけでなく、挑戦も欠かせない。タケも山で守りを固めるがごとく根を張り、やがてタケノコが出て新しい竹林を開拓していく。寅彦はかつてこう例えた。「朽ちかかっている祖先の遺物の中から新しい生命の種子を拾い出す事」

 まずは高知の気候風土を知るところから始めよう。春の山海の幸を味わうのも忘れずに。

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