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2024.04.01 05:00

【能登地震3カ月】復興へこれからが正念場

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震源に近かった石川県能登地方もようやく被害の全容が見えつつあるようだ。しかし、復興や生活再建の道は依然厳しく、新たに見えてきた課題も多い。
 元日の静かな北陸を最大震度7の揺れと津波が襲った能登半島地震は発生から3カ月がたった。
 内閣府の集計によると、3月26日現在で死者は石川県で244人に上り、負傷者も石川県を中心に8府県で1300人に及んでいる。
 住宅の全半壊、一部損壊などの被害も11万棟を超えた。地震発生から1カ月の段階では3万棟に達していなかったが、発生2カ月後には約8万棟に増えた。
 能登地方では各地で土砂災害が起き、道路が寸断。被災地の救援や調査が難航していることが伝えられてきた。状況が改善し、住宅被害数の把握も進んだのだろう。
 ただ、道路はいまだ完全復旧していない。道路や宅地は液状化の爪痕も大きい。被災者は厳しい生活を強いられ、事業の再開にめどがたたない商工業者も多い。被害の大きさが改めて分かる。
 生活に欠かせない水道の復旧も遅れている。能登地方の5市町で計9千戸以上の断水が続く。珠洲市では地震後、最大約4800戸が断水していたが、その10分の1も解消していない。
 水道が復旧したにもかかわらず、下水管の損傷が激しく、水が流せない事態も起きている。下水管の耐震化も欠かせないことを物語る。
 復興に欠かせない被災家屋の撤去や修繕も遅々として進んでいないようだ。被災家屋に空き家が多いことも課題になっているという。
 こうした状況から、被災地の復興や住民の生活再建はこれからが正念場といえる。自治体の対応には限界があり、政府がしっかり予算を確保し、手厚く対処する必要がある。全国からの被災地支援も引き続き欠かせない。
 教訓は他にも多い。防災行政無線の屋外スピーカーの多くが、損壊や停電の長期化によるバッテリー切れで一時使用できなくなった。余震が続く中、通信網が遮断され、防災行政無線も使えないとなれば、住民の命に関わりかねない。
 住宅被害や道路の寸断で、職員が登庁できず、地震発生当日に出勤できた職員が全体の2割にとどまった自治体もあった。被災状況の把握や避難所への物資輸送などで人手が足りず、混乱を極めた。
 地域防災計画で定めた食料などの必要物資を半数超の指定避難所に備蓄していなかった自治体もある。そのため、防寒具や食料が不足した避難所もあったようだ。
 能登半島地震は過疎化が進む地方が大きな地震に見舞われた場合の課題を如実に示している。過去、対策の必要性が叫ばれてきたものもあれば、重視されてこなかったものもあるだろう。
 南海トラフ巨大地震が想定される高知も学び、論議し、備えていかなければならない。

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