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2024.04.01 05:00

小社会 フィクションとうそ

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 SF作家の故・星新一さんは、他人に迷惑の及ぶうそと、楽しむためのフィクションは明確に分けるべきだという持論があった。その星さんが50年ほど前の随想に、「大汗をかいた」と書いている。

 都心の高層住宅に住んでいた頃のこと。来客があると、間近の東京タワーを指さし「こんなに近いと電波が強く、眠っていてもコマーシャルの夢を見る」。みな面白がるのに、「そうでしょうね」と感心した人が1人いた。

 慌てて打ち消し、冗談だと解説したとか。フィクションの楽しさが成立する条件の第一として、星さんは「関係者が正気でなければならない。無知であってはならず、健全な常識の持ち主でなければならない」。

 きょうはエープリルフール。ユーモアのある虚構なら楽しみたい。ただ、いまの世は交流サイト(SNS)が発達。他人に迷惑の及ぶうそも飛び交う。きょう発生から3カ月になる能登半島地震でも偽情報がかなり拡散されたようだ。

 災害時は不安感からデマが生まれる。ところが今回のデマは愉快犯とも違う要素があった、と本紙でも専門家らが指摘している。X(旧ツイッター)が昨年、投稿の表示回数によって広告収入が得られる仕様に。回数を稼ぐための虚偽投稿が増えたという。

 うそといえば、自民党の裏金事件でも真実を語っていそうにない政治家の姿を見る。いつにもまして「良心」という言葉がよぎる4月1日ではある。

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