2024.03.30 08:00
小社会 あったらいいな
「あったらいいなをカタチにする」がスローガン。消費者の隠れたニーズを掘り当て、個性的な商品を開発し、ニッチな市場で優位に立つのが同社の戦略だ。サラサーティはその「優等生だった」と、ビジネスモデルを築いた小林一雅会長の著書にある。
目を付けたのは、おりものに困る人がいるのに対応する大手がいなかったこと。商品化に当たっては、慎重論もあった中で「おりもの専用」とうたい、消費者の分かりやすさにこだわった。
この分かりやすさ重視も同社の特徴に挙がる。新商品のアイデアも、独特のネーミングも、消費者本位で考え抜く。小林氏は部下に「あと一日考えてみてくれ」とよく迫ったとし、その姿勢が会社の成長を生んだとする。
だが、紅麹(こうじ)サプリメントによる健康被害の件ではどうだったか。事態の公表、取引先や行政への連絡が遅れ、後手批判が出る。きのうの記者会見では、社長は批判に対し「言葉もない」。
サワデー、アンメルツ、ブルーレット、熱さまシート…。お世話になってきたアイデア商品までもが色あせる。「(こう)あったらいいな…」の想像力を、なぜ自分の会社の危機管理で〝カタチ〟にできなかったのだろうか。