2024.03.15 08:00
小社会 還暦の公明党
1992年の参院選県選挙区。前年の知事選で自民党が橋本大二郎さんに惨敗し、県内政界が混乱する中、保守中道勢力がまとまる形で両党は無所属の平野貞夫さんを推した。地域事情が先立った共闘だったが、「平和の党」「福祉の党」を掲げて他の野党と組んできた公明が、自民と距離を縮めたのは事実。7年後、連立政権が誕生する。
以降、連立は四半世紀に及ぶ。ちなみに公明は、ことしで結党60年の還暦。創価学会を支持母体に与野党を行き来した歩みは起伏に富むが、すっかり与党の印象が定着した。
この間、踏まれても付いていく「げたの雪」と皮肉られたこともあった。昨年は、自民の一方的な候補者調整に選挙協力の部分解消を決めたが、最後は仲直り。政権にいてこそ政策が実現できる、とこだわる。実際に得た果実も多いことだろう。
だが「平和の党」の看板はやはり揺らぐ。集団的自衛権の行使、敵基地攻撃能力…。「平和国家」の衣を剥ぐような自民の動きを認めてきた。党は「ブレーキ役」を自任するが、それが自民が前進する口実になっている面もあるのではないか。
還暦の節目にも公明の姿勢は変わらないようだ。平和国家の衣がまた一枚剥がれる。国会で十分な議論もないまま、きょうにも与党は戦闘機輸出に合意するという。