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2024.03.13 08:00

小社会 ゴジラの70年

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 ゴジラ映画は随分見た方だが、1954年の第1作を超えるリアルな映像はないと勝手に思っている。原爆投下から9年。米国の水爆実験で第五福竜丸などが被ばくしたビキニ事件があった年。モノクロの映像を核への恐怖が貫く。

 破壊された街並み、逃げ惑う群衆、病院にあふれるけが人は、空襲や原爆の惨状を思わせる。「また疎開か。いやだなあ」。電車に乗る人々のせりふにも戦争の生々しい記憶がある。

 数年後に公開された米国版は、大きく改変されたことが知られる。主演した俳優の宝田明さんは晩年、「米国にとって都合の悪い部分がずたずたに切られ、反核的な部分が全くなくなってしまっていたんです」と語っている。

 最新作「ゴジラ―1.0(マイナスワン)」が米アカデミー賞の視覚効果賞に輝いた。最新技術を駆使した作品は、第1作の後味とは違う。ただ、70年の時を経て山崎貴監督は言う。戦争と核兵器の象徴であるゴジラを「鎮めるという感覚を世界が欲しているのでは」。

 最新作は、米国で上映された実写の邦画では最高の興行成績になった。公開70年の第1作も、米国で上映会が相次いでいるという。人間の愚かさを見る昨今の世界。核への恐怖は70年前よりもリアルさを増したのだろうか。

 受賞の快挙でまたゴジラが注目されそうだ。その原点を思うべきは、核兵器禁止条約に背を向ける唯一の戦争被爆国にもいるのかもしれない。

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