海外向けの粉ミルクをつくる仕事　現地の人が求める成分や味わいを調べる

2024.03.27 05:00

海外向けの粉ミルクをつくる仕事　現地の人が求める成分や味わいを調べる

高知新聞社

　森永(もりなが)乳業(にゅうぎょう)という会社(かいしゃ)で働(はたら)く西川裕展さんは、神奈川(かながわ)県(けん)の研究(けんきゅう)所(しょ)でアジアを中心(ちゅうしん)に海外(かいがい)の子(こ)ども向(む)けの粉(こな)ミルクをつくる仕事(しごと)をしている。

　大人(おとな)と同(おな)じ食事(しょくじ)を取(と)ることができない赤(あか)ちゃんにとって、母乳(ぼにゅう)や育児(いくじ)用(よう)のミルクは大切(たいせつ)な栄養(えいよう)源(げん)だ。産後(さんご)数日(すうじつ)の間(あいだ)の初乳(しょにゅう)には、赤(あか)ちゃんの健康(けんこう)をたもつのに重要(じゅうよう)なラクトフェリンとよばれる栄養(えいよう)成分(せいぶん)が多(おお)くふくまれている。

　「母乳(ぼにゅう)に近(ちか)づけるため、牛(うし)の乳(ちち)から同(おな)じ成分(せいぶん)を取(と)りだし、粉(こな)ミルクの材料(ざいりょう)として入(い)れます」

　海外(かいがい)向(む)け商品(しょうひん)は、世界(せかい)やその国(くに)のルールを守(まも)りつつ、現地(げんち)の人(ひと)が求(もと)める成分(せいぶん)や味(あじ)わいを調(しら)べて、レシピをつくる。

　「１～３歳(さい)用(よう)では、日本(にほん)よりもあまい味(あじ)わいが好(この)まれます」。

　タンパク質(しつ)やおなかの調子(ちょうし)を整(ととの)えるオリゴ糖(とう)など素材(そざい)の量(りょう)を変(か)えて何(なん)十回(じゅっかい)も試作(しさく)する。完成(かんせい)前(まえ)にはテストも必要(ひつよう)だ。

　「賞味(しょうみ)期限(きげん)は約(やく)１年半(ねんはん)～２年(ねん)。この間(あいだ)や、商品(しょうひん)を高温(こうおん)で殺菌(さっきん)した時(とき)などに栄養(えいよう)成分(せいぶん)がへってしまわないか、味(あじ)が変(か)わらないかをたしかめます」

　インドネシアやパキスタンに何度(なんど)も足(あし)を運(はこ)んだ。現地(げんち)では英語(えいご)でやりとりする。

　「海外(かいがい)商品(しょうひん)は、基本(きほん)的(てき)にイスラム教(きょう)の信者(しんじゃ)が禁(きん)じられている食(た)べ物(もの)や飲(の)み物(もの)をふくんでいません」。食物(しょくもつ)アレルギーの子(こ)ども向(む)けに、大豆(だいず)でつくることもある。
　
　「現地(げんち)で、自分(じぶん)のつくったミルクを子(こ)どもが飲(の)むすがたを見(み)ると、とてもうれしいです」

　父親(ちちおや)が働(はたら)く時計(とけい)メーカーの話(はなし)を聞(き)いて、小学生(しょうがくせい)の時(とき)からものづくりに興味(きょうみ)があった。大学院(だいがくいん)で生物(せいぶつ)を学(まな)んだ後(あと)、多(おお)くの人(ひと)に商品(しょうひん)をとどけることができる食品(しょくひん)メーカーに入(はい)った。休日(きゅうじつ)は娘(むすめ)と遊(あそ)ぶのが楽(たの)しみ。東京都(とうきょうと)出身(しゅっしん)、４１歳(さい)。

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