2024.03.05 08:45
重度脳性まひの男性が避難所開設訓練に参加 住民が介助方法など学ぶ 高知市の十津小
皓義さんを段ボールベッドに寝かせる山下君江さん(高知市十津4丁目の十津小)
山下皓義(こうき)さん(21)=同市池=は重度の脳性まひで在宅医療を受けている。災害時に医療施設や福祉避難所に行くことができない可能性があり、母の君江さん(56)と地元の訓練に初参加した。
介助型の車いすで参加した皓義さんは体重約30キロ。その体を君江さんが抱え、段ボール製のベッドに寝かせた。今回はベッドが低かったため1人での移乗が可能だったといい、君江さんは「低い所から高い所に移動することは、慣れている人でも難しい。必ず補助が必要です」と説明。参加した住民が移乗の仕方などについて真剣に聞き入った。
皓義さんは気管切開していて定期的な痰(たん)吸引が欠かせない。普段は電動の吸引器を使っており、避難先では電源の確保が課題になる。食事は胃ろうのため、お湯と栄養剤、排せつはかん腸が必要となる。
君江さんは「一般の人には想像できないことがたくさんある」とし、「災害時は私たちだけでなく皆が被災者になるので、息子ができないことや必要なものを端的に周囲に伝えなければと思った」と振り返った。
主催した十津小校区防災連合会の丁野加寿代会長は「今回初めて一緒に訓練をし、障害者ならではの注意点があることに気づいた。医療や介護関係の住人と話し合い、運営や区割りの方法を考えていきたい」と話した。訓練には住民約80人が参加。簡易トイレの使い方やポリ袋を使った料理法などを学んだ。(相良平蔵)