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2024.02.27 05:00

【政倫審の開催】公開で不信と向き合え

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 不明朗な政治資金の在り方に世論は批判的だ。不透明感が強まる対応では逆効果となる。政治不信との向き合い方が試されている。
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会の開催が議論されている。開催されると約15年ぶりとなる。
 野党は、派閥からの還流を政治資金収支報告書に記載しなかった現職82人のうち全ての衆院議員51人に政倫審への出席を求めている。だが出席を申し出たのは、派閥の解散方針を決定した安倍派と二階派の計5人にとどまる。
 5人はいずれも非公開での審査を求め、野党は公開を要求して対立している。岸田文雄首相は、「しっかりと説明責任を果たしてもらいたい」と述べる一方、公開の是非は規程に基づき国会が判断することだと繰り返してきた。原則非公開で、公開は本人同意が必要だが、説明責任を果たすとの常とう句を重ねるだけでは逃げの姿勢に見られる。これでは最低水準の内閣支持率を反転させる力は乏しい。
 東京地検特捜部は衆院議員、池田佳隆被告や会計責任者ら計10人を立件し、捜査は事実上終結した。政治資金収支報告書への虚偽記入の罪を問い、派閥の実務を取り仕切った幹部は不問に付した。
 自民は政倫審の開催に応じることで2024年度予算案を週内に衆院通過させ、3月中の成立を確実としたい意向だ。予算に「空白期間」が生じて影響が出る事態を避けたいのは分かるが、それと裏金事件を結びつけるのは無理がある。
 裏金の使途をはじめ、還流が誰の指示で始まり継続されたかなど実態解明は進んでいない。安倍派ではパーティー券の販売ノルマ超過分を議員側に還流する仕組みが定着していた。22年4月には安倍晋三元首相の意向で取りやめを決定したが、安倍氏の急逝を受け幹部の協議で中止を撤回したとされる。不適切な行為がなぜ必要とされたのかを明確にする必要がある。
 自民の調査報告書は、還流資金の使途に会合費や研修会の施設経費、懇親費用などを挙げる。だが、具体的な金額や使用日時にはほとんど触れられていない。これでは政治活動費以外の私的流用を否定しても、その通りには受け入れられるはずはない。十分な説明が不可欠だ。
 還流金の一部は課税対象になるのではないかという疑念も向けられる。政治家が納税を軽視していると見られては情けない。確定申告シーズンでもあり厳しい視線があることを強く意識して、厳格な対応を進めることが重要だ。
 解明を再発防止につなげる必要がある。政治責任の明確化と政治資金の透明化が欠かせない。議員にも連帯責任を負わせる「連座制」の導入や政治資金パーティーの全面禁止などが取り上げられる。政治資金規正法の限界がたびたび露呈する。修正しても行き届いていないのが現状だ。そこにも不信が漂うことを真剣に受け止めた対応が求められる。

高知のニュース 社説

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