2024.02.19 08:00
小社会 わざわざ走ろう
走る理由、続ける動機は人それぞれだろう。例えば、作家の松久淳さんは運動不足と不摂生な生活から体調を崩し、40代半ばで意を決して走り始めたという。最初は50メートルで足がもつれた。
ところが、「走る奴(やつ)なんて馬鹿(ばか)だと思ってた」という著書名とは裏腹に、走る楽しさを覚える。走った足跡をアプリで見て喜びを感じ、5キロも走れるようになると「宗兄弟の背中が見えてきたな…」。2年ほどで市民マラソンに出場した。
きのう、ことしで10回目を迎えた龍馬マラソンを見物した。真剣な表情で飛ばす人、ゆったりと沿道に手を振る人、応える声援。川べりを走る人々の増加とともに、もう早春高知の風物詩だろうか。
一方で、拡大傾向だった全国の市民マラソンは転換点にあるとされる。各地で定員割れ。コロナ禍に伴うランニング離れ、参加料の値上げといった要因があるようだ。「わざわざ高知で走ろう!」。龍馬マラソンも当初からの宣伝コピーに沿い、もう一段の魅力を発信したい。
小欄も来年の早春は、走る人へのハードルを越えているだろうか。いや、宗兄弟の背中は見えていないかも。