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2024.02.16 08:00

小社会 濁れるカネ

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 有名な古川柳に〈役人の子はにぎにぎをよく覚え〉がある。賄賂がはびこった江戸期の老中、田沼意次の時代。近年は商業重視の改革を再評価する向きもあるとはいえ、庶民が浄化を望んだ狂歌も残る。〈田や沼や 濁れる御世(みよ)をあらためて 清く澄ませ白河の水〉。

 白河とは、「寛政の改革」で倹約を進めた松平定信のこと。ただ、景気が上向かず耐乏生活が長くなると、正反対の歌ができた。〈白河の あまり清きに耐えかねて 濁れる元の田沼恋しき〉。庶民がきれいな手法、かつ頼りになる政治・行政の両方を望むのは、いつの世も同じなのだろう。

 ともあれ、田沼時代は幕府役人の人事も金で左右されたという。歴史小説作家の中村彰彦さんは著書「名君と暗君と」に、賄賂の相場は長崎奉行になりたいなら2千両、目付なら千両と書いている。

 先日の本紙で、にわかには信じられない「にぎにぎ」が報じられていて驚いた。名古屋市の教育委員会。教員の人事を担当する課が毎年、校長会など教員団体から金品を受け取っていた。総額は年に200万円を超えるという。

 小中学校の校長らに推薦する名簿を出す際などに渡されていた。市教委は激励や陣中見舞いで、賄賂ではないと言う。しかし、ことは先生の信用にも関わろう。調査と説明が急がれる。

 思えば、自民党の裏金事件もまだ満足のいく説明がない。このところ濁れるカネの話がちょっと多すぎる。

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