ヘルメットで命守って　自転車事故で息子失った男性が呼びかけ　土佐市・戸波中

2024.02.14 05:00

ヘルメットで命守って　自転車事故で息子失った男性が呼びかけ　土佐市・戸波中

高知新聞社

「事故で家族や友人が亡くなることを想像してみてほしい」と語る渡辺明弘さん（土佐市の戸波中学校）

　１０年前(ねんまえ)に高校(こうこう)１年(ねん)だった息子(むすこ)を交通(こうつう)事故(じこ)で亡(な)くした松山(まつやま)市(し)の渡辺()明弘()さん（５４）が７日(か)、土佐(とさ)市(し)家(いえ)俊(とし)の戸波(へわ)中学校(ちゅうがっこう)で講演(こうえん)し、生徒(せいと)や地域(ちいき)住民(じゅうみん)ら約(やく)６０人(にん)に、命(いのち)とヘルメット着用(ちゃくよう)の大切(たいせつ)さなどをうったえました。

　渡辺()さんは、仕事(しごと)の合間(あいま)に四国(しこく)内(ない)の中学校(ちゅうがっこう)や高校(こうこう)などで自身(じしん)の体験(たいけん)を語(かた)っています。この日(ひ)は約(やく)５０分間(ぷんかん)、時折(ときおり)言葉(ことば)をつまらせながら生徒(せいと)らに語(かた)りかけました。

　長男(ちょうなん)の大地()さんは２０１４年(ねん)１２月(がつ)、下校(げこう)途中(とちゅう)に自転車(じてんしゃ)で自宅(じたく)近(ちか)くの信号(しんごう)のない横断(おうだん)歩道(ほどう)を渡(わた)っていてトラックにはねられました。ヘルメットを着用(ちゃくよう)しておらず、頭(あたま)を強(つよ)く打(う)ったといいます。

　「家(いえ)に帰(かえ)ってきた時(とき)はいつもハイタッチをしていたが、その日(ひ)の大地()の手(て)は冷(つめ)たくなっていました」とふり返(かえ)った渡辺()さん。葬儀(そうぎ)の後(あと)に、大地()さんの部屋(へや)を整理(せいり)していると、折(お)り紙(がみ)で作(つく)られた花束(はなたば)が見(み)つかったといい、「事故(じこ)の翌日(よくじつ)が誕生日(たんじょうび)だった妻(つま)は、その花束(はなたば)を抱(だ)きしめて泣(な)き続(つづ)けた」と紹介(しょうかい)しました。

　また、大地()さんらの事故(じこ)を受(う)け、愛媛(えひめ)県内(けんない)の県立(けんりつ)高校(こうこう)では自転車(じてんしゃ)通学(つうがく)する生徒(せいと)のヘルメット着用(ちゃくよう)が義務(ぎむ)化(か)された経緯(けいい)について話(はな)し、「事故(じこ)は一瞬(いっしゅん)にして被害者(ひがいしゃ)の家族(かぞく)の平和(へいわ)を奪(うば)う。加害者(かがいしゃ)もつらい人生(じんせい)を歩(あゆ)む」「大人(おとな)も責任(せきにん)を持(も)って安全(あんぜん)なまちにしていきましょう」と呼(よ)びかけました。

　３年(ねん)の渡辺()日奈()さん（１５）は「もし自分(じぶん)の家族(かぞく)が亡(な)くなったら立(た)ち直(なお)れないと思(おも)う。ヘルメットの大切(たいせつ)さが改(あらた)めて分(わ)かったし、高校(こうこう)に行(い)っても着用(ちゃくよう)し続(つづ)ける」と話(はな)していました。

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