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2024.02.10 08:00

小社会 見えない被害

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 1月下旬、高知市内の男性が自宅近くの家庭菜園を見に行くと、景色が一変していた。タマネギや大根が掘り起こされ、ほぼ全滅。人が横になれるほどの大穴がぽっかりと開いていた。隣の畑もキャベツが食い荒らされている。

 「イノシシにやられた」。知り合いの農家からも最近、立て続けに聞いた。いずれも中心街に近い、住宅地のすぐそばだ。野生動物の世界が身の回りに迫っていると実感させられる。

 県庁のホームページを開いてみた。県内の鳥獣被害は「平成24(2012)年度をピークに減少傾向」にあるものの「依然として高い水準」とある。データ上の被害額はピークの約3分の1。なぜ高水準なのだろう。

 聞けば、そこに本県の実情がにじむ。統計対象は生業としての農林漁業被害。中山間から人が減って耕作放棄地が増えれば、被害額も減る関係にある。家庭菜園も対象外。見えない被害を含めた被害実態は、やはり高水準という。

 里山が疲弊して、人間と動物の境界があいまいになる。クマの人的被害が続く地域とも共通した課題だ。国が捕獲を支援する「指定管理鳥獣」にクマが追加される見通しになったとはいえ、それも対症療法にすぎまい。

 人口減少の中で、東京一極集中が再加速している。このまま統計にも上がらない鳥獣被害は増え続けるのだろうか。抜本的な地方、中山間対策が急務でも、国会は裏金や宗教で頭がいっぱいのようだ。

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