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2024.02.06 07:00

助け合って新しいものを 能登地震・コシノジュンコさん

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 デザイナーのコシノジュンコさん

 能登半島地震は元日に起きました。お正月に突然の災害に見舞われて、被害を受けた方々にとっては、到底受け入れ難い出来事だと思います。


 私は漆塗りの作品をデザインすることも多く、1980年代からたびたび能登を訪れています。和倉温泉に友人と宿泊した思い出は忘れられません。輪島の朝市で通りを歩くと路地には情緒も人間味も感じます。けれど今回の火災で焼けてしまい、残念でなりません。


 輪島塗をはじめとする伝統工芸の世界は、職人さんたちが息を詰めるように作品を作る繊細さに満ちています。あの繊細な世界が壊れてしまったのかと思うと、やり切れない気持ちになります。


 東日本大震災の後、福島県で地場産品の事業者の皆さんと協業したブランドを立ち上げました。伝統工芸の人材を育てる「ふくしまクリエイティブクラフトアカデミー」の校長も引き受けて「ものづくり」をする方との関わりを続けています。


 陶芸や綿織物、木工など、それぞれのプロがいますが、自分とは違う分野の人と交流することで新しいものが生まれます。「外の世界」の空気を取り入れることが大事。私が「新しい風がふくしま」と言うと、皆さん喜んでくれます。


 石川県の漆の文化は日本そのもの。いったん壊れたものを元通りにするのは難しいけれど、外の世界と交流し、助け合って新しいものを生み出すことはできるはずです。生活の基盤が破壊されてしまって、復興は大変なことだと思います。街があって、祭りがあって、人が集まって、文化が生まれる。国や行政には、新しい街をつくるくらいの覚悟で取り組んでほしいと願っています。(デザイナー)


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 こしの・じゅんこ 大阪府生まれ。パリ・コレクションをはじめ、世界各地でファッションショーを開催。オペラや映画の衣装も手がける。

(c)KYODONEWS

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