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2024.01.30 08:00

【裏金で集中審議】首相は改革へ踏み込め

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 政治改革に取り組む意欲を強調するだけにとどめてはならない。実現に向けた具体的な取り組みが求められる。岸田文雄首相の熱意と指導力が試されている。
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、衆参両院の予算委員会は「政治とカネ」問題をテーマに集中審議を開いた。首相の施政方針演説に先立つ異例の開催だ。
 首相は、自らが先頭に立って政治改革を実行する考えを表明した。会計責任者だけでなく議員が連帯責任を負う連座制の導入に関して、厳正な責任体制を確立する必要性に言及した。しかし、政治資金規正法改正など必要な法整備を進めていくと原則論にとどまるのが現状だ。どこまで踏み込めるのかが焦点となる。
 自民の政治刷新本部がまとめた中間報告でも、規正法改正は必要な法整備を速やかに行うと書き込んだものの、具体的な内容には触れていない。発言はこれを踏襲している。党の考え方をまとめ、各党とも議論する姿勢を打ち出したが、対応はこれからだ。積極的に対処することが求められる。
 世論調査では、政治資金規正法の厳格化や厳罰化などの法改正を8割以上が望む。一方で、再発防止に取り組む自民政治刷新本部への期待感は高まらない。冷ややかな国民の見方を受け止めることが肝要だ。
 首相は事件の実態解明に向け、関係者から事情聴取する枠組みづくりを党幹部に指示し、速やかに聴取を始める考えを明らかにした。外部有識者の関与にも言及した。
 解明を曖昧にできないのは当然だ。もっともそうした取り組みはこれまでにできたことであり、前向きな姿勢を示さなかったことが政治不信を増幅させる結果となった。そこに意識を向ける必要がある。
 首相は岸田派の解散に踏み込み、安倍派などは巻き込んだが一部は存続する。中間報告は、派閥から金と人事を切り離し、政策集団による政治資金パーティー禁止などを盛り込んだ。一方で派閥の全廃を求めず政策集団としての存続は容認した。
 派閥はこれまでも解消が打ち出されたが復活している。それが繰り返されてきた要因を注視することが大切だ。使途公開の在り方など、政治資金の透明化をいかに図っていくかは重要な論点となる。
 事件を巡っては、東京地検特捜部は議員や元会計責任者ら安倍、二階、岸田の3派閥の計10人を立件した。一方、安倍派ではパーティー券の販売ノルマ超過分を議員に還流する仕組みが定着していたが、幹部は不起訴処分となった。
 検察側は、還流自体が直ちに犯罪になるわけではなく、政治資金収支報告書への虚偽記入が罪に当たると説明する。だが、派閥の実務を取り仕切る事務総長らが関与していなかったのか疑念がくすぶる。党内からもけじめを求める意見が出る。
 首相は今後の聴取を巡り、法的な責任にとどまらず、政治的な責任を明らかにして説明していくという。首相の責任も重い。

高知のニュース 社説

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