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2024.01.26 08:00

小社会 うそ替え神事

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 野鳥のウソはフィ、フィと美声で鳴く。呼び名は昔、口笛を吹くことを嘯(うそぶ)くといったからという説がある。とすれば同音の「嘘(うそ)」は当の鳥には迷惑かもしれないが、年に一度は脚光も浴びる。

 大寒のころ、神事の「うそ替え」を催す天満宮が各地にある。参詣者同士が夜の境内で、木彫りのうそを交換する。または神社に納め、新しいうそを受け取る。去年、知らず知らずのうちについた嘘、犯した悪事を天神様の誠に替えてもらって新年の吉事を願う。

 野鳥観察の専門誌「BIRDER」に昭和20年代、太宰府天満宮での逸話がある。集まった参詣者は数千人。中にはたるの栓を持ってきて、大きく高価な木彫りと交換する悪い人も。「このような人には神罰が下るべきだ」

 いま天神様に凶事を取り換えてもらいたいのは、裏金事件に揺れる自民党だろうか。ただし、立件を免れた安倍派の幹部らは本当に「知らず知らずのうちに」犯した悪事なのか。釈明は、お決まりの「秘書が、秘書が」。議員自らは「知らぬ存ぜぬ」で通している。

 35年前、リクルート事件で国民の政治不信は頂点に達した。当時、自民党がまとめた政治改革大綱には〈いまこそ自らの出血と犠牲を覚悟して、国民に政治家の良心と責任感を示す〉とある。再び同じ決意が要るように映る。

 きょう通常国会が始まる。政治家の良心を感じられる展開になるかどうか。民意による罰が下る前に。

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