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2024.01.24 08:00

【自民党の派閥】政策集団で変わるのか

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 自民党派閥のイメージ転換を図ろうとしても、実効性が伴わなければ意味がない。そもそも派閥の存廃そのものは本筋ではなく、「政治とカネ」を巡る透明性をどう高めるかが問われている。事件の全容を明らかにして対処することが、信頼を得るための基本となる。
 派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、自民の政治刷新本部がまとめた党改革の中間報告案は、カネとポストの配分という派閥機能から完全決別を掲げる。しかし政策集団としてのグループ存続は容認し、全面解消には踏み込んでいない。
 政策集団による政治資金パーティーや、閣僚人事の際の推薦名簿作成や働きかけを禁じる。カネとともに閣僚や党の人事、選挙への影響力が付随する派閥から、それらの面倒を見ない政策集団へと移行するということのようだ。
 党内には、派閥には人材育成や政策集団としての役割があるとする意見がある。一方で無派閥議員に派閥解消論が広がる。その落としどころを探ってきたのだろう。
 ただ、派閥の解消や事務所の閉鎖はこれまでも打ち出され、復活してきた。政策集団が抜け道となり、やがてカネと人事を力の源泉とする派閥に戻ってしまう。派閥解消に伴う執行部への権力集中への警戒感も根強いようだ。そうした風土を残したままでは、同じことが繰り返されると見られても仕方ないだろう。
 政治資金規正法の改正も重要な論点となる。中間報告案には、会計責任者が立件された場合は団体の代表を務める議員を事案の内容に応じて処分することを盛り込んだ。
 東京地検特捜部は、裏金事件で派閥会計責任者ら8人を立件したが、実務を仕切っていた幹部議員は見送った。規正法の限界が繰り返し露呈され、今回も検察審査会への審査申し立ては必至だ。これが政治不信を強める。政治家が責任を持つ制度を作ることは当然のことだ。自民が議論を先導する必要がある。
 岸田文雄首相(自民総裁)は当初、裏金事件をさほど重大視していなかったようだが、9月の総裁選再選をにらみ党改革に懸ける。首相が岸田派の解散を党幹部に根回ししなかったのは、派閥解散の流れを形成したい思惑があったとされる。所属議員らが立件された安倍、二階両派が追随して、狙いは一定達成されたように見える。
 しかし、派閥存続などを主張した麻生、茂木両派とは溝が生じ、政権安定への影響が取り沙汰される。政権基盤の弱体化を回避しながら、党刷新と政権運営に努めなければならない厳しい局面を迎えた。国会開幕も近づき、首相の向き合い方が試されている。
 パーティー券収入を裏金化する手法が広く、長期間行われていたことは政治資金への認識の甘さを示す。また、政治活動に金がかかりすぎる現状を映し出す。裏金化はいつから誰が主導し、それが何に使われたのか。党としてまず実態を明らかにする必要がある。

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