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2024.01.24 08:00

小社会 人生主義を唱えた政治家

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 「心の自由民権」を掲げ、「人生主義」なるものを唱えた。「一人一人の心や人生から社会を考えていく政治を」。今も分かるようで分からない福井語録である。

 自民党元衆院議員の福井照さん。当選7回。うち5回は「魔の選挙区」と呼ばれた高知1区選出だった。中でも、政権交代を目指す民主党候補と元知事の間隙(かんげき)を突いた2009年の選挙は語り草だ。元建設官僚として防災に力を注ぎ、閣僚も務めた。平成以降の県内政治史の主役の1人に違いない。

 ただ、その割に去り際は寂しかった。8選を期した3年前の衆院選。四国比例の当選圏に処遇されなかった。不本意だっただろうが粛々と戦い、負けると足早に離高した。以来、音沙汰はほぼなく、人の口に上ることも減った。

 先日、久しぶりに福井さんの名前が報じられたと思ったら、自民派閥の裏金問題だった。18年からの4年間で1200万円余の収入不記載があったという。二階派の事務総長だった時期もある。もし現職なら今ごろ修羅場だろうか。

 思えば、県外出身でどこか高知と距離を置いていた。スキャンダルもあり影があった。今回の裏金問題でその影が濃さを増す。

 自ら引退を決め、花道を構えられて去る場合と違い、落選して中ぶらりんが続いた政治家は引き際があいまいなままのことが多い。人生主義を唱えていた政治家の評価を、高知県民はまだきちんとできていないことに気づく。

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