「あふれたまち」

2024.01.26 05:00

「あふれたまち」

高知新聞社

ほんとに、問題(もんだい)ないの？
　ある朝(あさ)、動物(どうぶつ)たちの住(す)むまちに水(みず)があふれはじめました。たいしたことじゃあない、心配(しんぱい)にはおよばない、だいじょうぶだよ、動物(どうぶつ)たちはそう思(おも)いました。ただひとり、何(なに)か言(い)おうとしているものがいるのですが、だれも耳(みみ)をかそうとしません。水(みず)は、ひたひたとふえていきます。ひたひたひた。ほんとうにだいじょうぶ？

　読(よ)んでいて、ぎくりとしました。ああ、こういうことあるなぁ、なにかおかしい、だいしょうぶかな？　と気(き)づいているのに、たいしたことじゃない、そのうちなんとかなる、今(いま)いそがしいし、などと言(い)い訳(わけ)をして、おかしなことを見(み)てみぬふり。

　白黒(しろくろ)の線(せん)で描(か)かれた動物(どうぶつ)たちは生(い)き生(い)きと動(うご)き回(まわ)り、会話(かいわ)をしています。細(こま)かく描(か)きこまれた動物(どうぶつ)やまちのようすをたのしみながら、じっくりゆっくり、みんなの声(こえ)に耳(みみ)をかたむけてみてください。（ＮＰＯ法人(ほうじん)高知(こうち)こどもの図書館(としょかん)　雨宮()智子()）

「あふれたまち」　マリアホ・イルストゥラホ／作　鈴木沙織／訳　化学同人　小学校低学年以上

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