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2024.01.13 08:00

小社会 ふるいの先

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 最近の大学入試は、実務的には「入試」より「選抜」と呼ぶのだそうだ。これから始まる「一般入試」も多くの大学が「一般選抜」とする。

 かつて大学の学生選びは主に教科試験の得点競争だった。それが少子化もあって、いまでは高校での成績や活動を重視した、いわゆる推薦枠が大幅に拡大している。俯瞰(ふかん)すると選抜と呼ぶ方がふさわしいのかもしれない。

 ただ言葉の響きが良すぎるきらいはある。受験生にとって入試の印象はいまも、優れた人を選ぶというより基準に達しない人をはじく「ふるい分け」。受験生を「ふるいにかける」「ふるい落とす」という言葉もある。

 入試は人生の一つの通過点でしかないのに、選抜と聞くと合格が成功であるかのように誤解もしかねない。その意味では「ふるい分け」と捉える方が挑戦が続く印象にはなる。

 ことしも入試本番を迎えた。大学入学共通テストがきょうとあす全国一斉に行われる。得点で志願先も変わるから、まさにふるい分け。受験生の不安はいかばかりか。能登半島地震の被災地の受験生は大丈夫だろうか。

 「ふるい」は、おなじみの網の目の道具。専門家の故三輪茂雄さんが著書「篩(ふるい)」でそれにまつわる逸話を紹介している。「西洋では『篩の目から宇宙が見える』という」。ふるいの先には無限の世界、可能性が広がると信じたい。入試は3月まで続く。受験生の皆さんの健闘を祈ります。

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