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2024.01.13 08:00

【能登地震関連死】助かった命守る対策急務

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 能登半島地震は発生から2週間になろうとしている。犠牲者は210人を超える中、時間の経過とともに、過酷な避難生活などが原因で亡くなる「災害関連死」が増え始めた。生き延びた命が失われる事態を全力で防ぎたい。対応が急がれる。
 建物倒壊や津波などによる直接的な被災ではなく、避難生活による疲労や持病の悪化などで亡くなった場合が災害関連死とされる。9日から報告され始め、10人を超えた。
 被災地ではまだ2万人以上が学校などの避難所で過ごし、孤立状態が続く集落も少なからずある。ビニールハウスや車に避難している人もいる。また、高齢者施設や医療機関に残ったままの人もいる。
 その生活環境は極めて厳しいと伝えられる。
 半島は地形的に交通事情が悪い上、各地で道路が寸断され、物資が十分に行き届いていない避難所が多いようだ。断水、停電が解消されていない地域も少なくない。
 寒さに見舞われ、低体温症や衰弱が懸念されている。トイレなど避難所の衛生環境も悪化している。新型コロナウイルス、インフルエンザ、感染性胃腸炎などの患者が確認され、まん延が警戒される。
 関連死は過去の震災でも多数出ており、2016年の熊本地震では犠牲者276人の約8割を占めた。専門家は能登半島の状況を「熊本地震の時より過酷な環境だ」と指摘する。
 重症化リスクの高い高齢者が多い点も深刻だ。これまでの震災から得た教訓を生かし、一刻も早い支援が求められる。
 関連死を防ぐため、避難所での応急的な対応としては、効果的な防寒対策や、体調の悪い人の居住スペースを区切るなどの感染症対策がある。運動や声かけを勧めてストレスをためないようにすることも重要だ。実践されるよう努めたい。
 持病のある高齢者らは、ライフラインの復旧や仮設住宅の建設を待つことが難しいのが現実だろう。居住環境が整った被災地外の施設に移る「1・5次避難」、県内外の公営住宅、ホテルなどに移る「2次避難」を速やかに進めるべきだ。
 福祉施設の入所者らは、相応の機能を持った施設でなければ移動することができない。広域的な協力体制も早期に築く必要がある。
 2次避難は既に始まっており、政府は、2月末までに北陸と周辺県で計約1万3千人分、三大都市圏で約1万2千人分の宿泊施設を確保したとしている。
 ただ、対象者と避難先のマッチングや、輸送手段の確保などの調整作業も生じる。地域を離れることに抵抗感を持つ高齢者がいれば集落単位で2次避難を手配するなど、多様なニーズに対応していくことも必要になる。スムーズに進むよう、他の自治体からの応援などで人的体制を手当てしていくことも重要だ。
 被災者をぎりぎりまで我慢させないことが重要だとされる。あらゆる手だてを講じて、助かった命を守り切りたい。

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