2024.01.10 08:00
小社会 桑名市長の「右腕」
市長が提案した人を市議会は認めた。ただし賛成したのは34人中18人。半数近くが了としなかった。新市長にとって「右腕」選びは最も大切な仕事だといってよい。それが際どい結果に終わったことに桑名市政の未熟さが浮かぶ。
そもそも役所の人事議案は、全会一致の同意が望ましいとされる。「人」を判断するからだ。否決は尊厳にかかわる。予算や条例案の採決とは質が違う。人選に慎重さが求められ、議会の感触を探って異論が出そうなら再考することもある。
まして、新高知市長の右腕となれば注目度や影響力は大きい。その中で選んだのは、西日本豪雨の時に競馬観戦旅行に出て処分を受けた幹部だった。
適否の見解は人それぞれ。市長は「能力は高い」という。人選は市長の裁量でもある。そこは尊重するとしても、反対論は予見できた。理解を得るために汗をかく必要があったが、どこまでできたのか。採決では、与党的な会派からも8人の棄権が出た。これはかなり深刻な事態だ。
議会がそう捉える人事なら職員の受け止めも…と考えてしまう。県都の内政は大丈夫なのだろうか。「チェンジ」を掲げる新市長は何を変えようとしているのだろうか。