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2024.01.10 08:00

【池田議員逮捕】徹底捜査で実態解明を

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 裏金づくりの実態解明が期待される。自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件は現職議員の逮捕に発展した。徹底した捜査を望みたい。
 東京地検特捜部は政治資金規正法違反(虚偽記入)の疑いで衆院議員、池田佳隆容疑者=比例東海、自民除名=と政策秘書を逮捕した。両容疑者は共謀して、2018~22年、派閥から計4826万円の還流を受けたのに、その額を除いた収入を資金管理団体「池田黎明(れいめい)会」の政治資金収支報告書に記入した疑いが持たれている。
 安倍派はパーティー券の販売ノルマ超過分を収支報告書の収入として扱わず、議員側への還流も支出として記載していなかった。裏金は5年間で6億円近くに上る可能性が指摘される。受領議員側も収入として記載していなかった。
 規正法違反事件は「形式犯」との見方もされる。報告書の作成義務が課される会計責任者が一義的に立件対象となり、国会議員の逮捕は異例だ。特捜部は池田容疑者が虚偽記入の詳細を把握し、共謀を問えると判断したとみられる。池田容疑者側は所属議員の中で高額とされ、また証拠隠滅を警戒したようだ。
 池田黎明会は派閥からの還流分は寄付として収支報告書を訂正している。党からの「政策活動費」との認識だったが、確証が持てなくなったためだと釈明した。
 報告書は、問題が発覚しても訂正すれば済むと思われているようだ。報告書に記載できない金との認識があるかどうかは焦点だが、報告書との向き合い方がそもそも安易なのではないかと疑念が膨らむ。
 安倍派内にはほかにも4千万円超の還流を受けたとされる議員がおり、特捜部は立件を視野に捜査しているようだ。その動向もさることながら、まずは議員自らが説明責任を果たす必要がある。
 裏金づくりは派閥ぐるみの慣行との見方がある。派閥側がどのように関与し、還流させたかは大きな注目点だ。特捜部は、派内の実務を取り仕切る事務総長などを経験した現在の中枢幹部を既に聴取している。
 幹部らは、報告書に記載されていなかったことを「知らなかった」と説明しているとみられる。特捜部がどこまで踏み込むのか注目される。関心は裏金づくりの手法や金額にとどまらず、歴代派閥幹部の主導の有無にも向けられる。
 捜査は通常国会召集までがヤマ場となる。国会審議への影響を考えれば、時間の制約は必要にもなるだろう。だが、政治とカネ問題の解明は曖昧にはできない重要性を持つ。問題を明らかにすることが、政治資金の透明性確保につながる。
 岸田文雄首相は政治刷新本部を発足させ、信頼回復への対策を策定するが、難航も予想される。昨年末には柿沢未途前法務副大臣=自民離党=が東京・江東区長選の買収事件で逮捕された。政治とカネ問題は改革を打ち出すだけでは納得は得られはしない。首相の姿勢が試される。

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