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2024.01.06 08:00

【能登半島地震】救出と被災者支援を厚く

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 最大震度7を記録した能登半島地震の被災地は断続的な揺れに襲われる中、懸命の救助活動が続いている。生存率が大幅に下がるとされる発生72時間を超え時間の制約が重くのしかかるが、捜索と救出、そして被災者支援に全力を挙げたい。
 犠牲者は90人を超えた。地震での建物倒壊などによる直接死は2016年の熊本地震を上回った。
 安否不明者は増える状況で、高齢者が多い。生き埋めが発生したという情報が多数寄せられている。木造家屋に被害が出やすい地震波が観測されている。これまでの揺れで傷ついた家屋も多い。余震による倒壊や土砂災害への警戒を引き続き怠ることができない。
 被害の全容が今も把握できないことが、被災状況の厳しさを物語る。地震発生後すぐに日没を迎え、津波の情報もあり初動が難しかった。さらに、土砂崩れや道路の損壊で、半島北部は陸路が断ち切られた。通信障害も発生している。多くの困難が立ちはだかった。
 インフラへの被害は深刻だ。広域で停電や断水が起きている。衛生面への影響も危惧される。路面の陥没やのり面崩落で交通が途絶して、孤立状態となった集落が多数ある。食料品やガソリンなど日常生活用品が不足しているほか、病気治療の通院にも影響している。生活環境の改善が待たれる。
 交通網の寸断は支援物資の搬送を停滞させている。輸送ルートの確保、正常化が急務となっている。医療や高齢者施設に必要な資材も届けることが難しい状況にある。海路の確保も、海底隆起や沈没船の有無の調査が必要となる。羽田空港で起きた航空機衝突事故は、航空便の欠航など支援活動にも影響している。早期の正常化が期待される。
 交流サイト(SNS)では、被害状況や早期の救助を求める訴えなどが発信されている。しかし、中には虚偽投稿もあり、救援や支援活動を妨害した事例がある。情報の拡散には注意が必要だ。 
 石川県内では家屋の倒壊などで3万人を超える人が自宅を逃れて避難所にいる。疲れもたまっていることだろう。真冬の避難所生活は寒さやストレスで体調を崩しかねない。
 災害関連死を防ぐことは重要な課題となる。高齢者は体温を失いやすい。また動かない姿勢のままでいると、血管の中で血液の塊ができる症状を起こしかねない。この週末は雨や雪の予報が出ている。避難所にいる人にとどまらない。手厚い対応が求められる。
 自衛隊は5千人規模に態勢を拡充し、警察や消防と連携して捜索に当たる。高知県からも県警広域緊急援助隊が被災地へ向かったほか、県の保健師らの派遣が予定される。活動には困難が伴うだろうが、安全に留意して手厚い支援を提供したい。
 岸田文雄首相は危機管理に全力を挙げる姿勢を打ち出す。長期化は必至だ。時間の経過とともに状況や被災地の求めは変わる。それと向き合うことが重要となる。

高知のニュース 社説

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