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2023.12.30 08:00

【2023回顧(下)】値上げ続き暮らし厳しく

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 3年以上にわたり社会経済活動を制約した新型コロナウイルス感染症は5月、法的な分類が「5類」に移行した。警戒からマスク姿がまだ多いようだが、観光需要が回復し小売りや外食に人出が戻ってきた。
 外国船社によるクルーズ船の日本来航が3月に再開され、寄港が途絶えていた高知新港でも受け入れが始まった。5月には高知龍馬空港に初めて台湾との定期チャーター便が就航した。よさこい祭りが4年ぶりに通常開催された。街は大勢の旅行者らでにぎわった。
 だが、明るい出来事ばかりではなかった。コロナ禍で落ち込んでいた企業活動が活発化したことで、人手不足が深刻化した。宿泊業では空室があっても客を迎えられないなど、景気を押し上げる力がそがれた。
 物価高ものしかかった。円安や原材料価格の上昇が物価を押し上げ、前年を上回る値上げラッシュとなった。政府はガソリンなど燃油価格の抑制策を縮小から拡充に転じた。
 一方、大幅な賃上げもみられたものの、実質賃金はマイナスが続く。暮らしが圧迫され、消費の冷え込みが懸念された。中小企業が賃上げしやすい環境整備が必要だ。
 全国で2022年に生まれた赤ちゃんは初めて80万人を割り込んだ。高知県では4千人を下回り、全国で最も少なかった。少子化対策の重要性を改めて確認したい。
 人権意識が繰り返し問われもした。ハラスメントが企業・団体で相次いで発覚した。自衛隊の調査は被害や問題が多く報告された。組織風土では済まされない。旧ジャニーズ事務所の性加害は芸能界の在り方にとどまらず、メディアの沈黙にも厳しい視線が向けられた。重く受け止めなければならない。
 「地球沸騰化の時代が到来した」。国連のグテレス事務総長が世界的な高温状態に危機感をあらわにした。日本でも猛暑日が続き、統計開始以来最も暑い夏になった。対策の加速が求められる。
 国際情勢も大きく動いた。パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘が続いている。死者は2万人を超え、人口の8割以上が避難民となった。
 人道危機の高まりに、イスラエルの後ろ盾であるバイデン米大統領は無差別攻撃は国際社会の支持を失うと警告した。しかし、イスラエル寄りの姿勢は米国の孤立を印象づけ、大統領選への影響が指摘される。
 ロシアによるウクライナ侵攻は長期化している。米国で軍事支援予算の確保が停滞するなど、各国で支援疲れが指摘される。ロシアは欧米との対立激化を念頭に、戦略核兵器の維持と強化に言及する。北朝鮮との軍事協力も指摘される。緊張を高める行為は容認できない。
 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での日本代表の優勝に歓喜し、将棋の藤井聡太八冠の誕生に盛り上がった。大谷翔平の米大リーグ、ドジャースへの巨額移籍には驚かされた。厳しい年の心躍る話題だった。

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