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2023.12.24 08:00

小社会 変わらぬ論点

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 経団連の事務方から副会長にまで上り詰めた故花村仁八郎さんは「財界の政治部長」の異名を取った。名だたる企業からカネをかき集め、一元管理して自民党などに渡す「経団連方式」をつくった。

 多くの逮捕者が出た造船疑獄(1954年)を契機にクリーンな献金を目指したという。企業や業界ごとに金額を割り振り、ピーク時の総額は100億円以上。巨費で政党や議員の面倒を見た。ただ花村さんが政治を信用していたかといえば、そうではない。むしろ不信の目を向けていた。

 80年代後半からリクルート事件、巨額の闇献金などが露呈した金丸事件などが続き政治不信が沸騰。幾度もの国会を経て、衆院小選挙区制と政党への公費助成の導入が決まる。

 政治の腐敗防止が目的だったのにいつのまにか選挙制度の話になった、という批判はあった。年数百億円の政党助成も同様。花村さんは「国会議員の浪費を考えれば国民を愚弄(ぐろう)するもの」と断じた。

 この頃に出た「日本の論点’94」(文芸春秋)を読むと、花村さんはじめ、故立花隆さん、元特捜検事らの面々が抜け道だらけで政治家が処罰されにくい政治資金規正法の問題を詳述し、条文の改正案まで示して改革を迫っている。

 「泥棒に追い銭にならないとも限らない」。これは金丸事件発覚前、当の金丸信氏が政党助成について語ったというコントのようなコメント。日本の論点はこの30年、まるで変わっていない。

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