2023.12.22 08:00
小社会 冬至に
手がけたのは当時悲願だった国産エンジンの開発と量産。現在の公式サイトは「日本の近代工業化が進む中、自分たちの手で発動機を作ろう、日本の産業に貢献しようという学者や技術者の熱い思いが、現在のダイハツの礎」だと記す。
そう、ダイハツ工業である。後に、大阪の「大」と発動機製造の「発」を合わせ現社名になる。自動車の生産は30(昭和5)年に始めた。開拓精神にあふれる企業であったのが分かる。
だからこそ、余計に失望感がある。品質不正でダイハツが全車種を出荷停止にした。安全性に関わりかねない問題も含まれ、最も大切なものを軽んじて開発を優先した疑いが指摘されている。いったい、いつから情熱がゆがんでしまったのだろうか。
政界も経済界も不祥事に揺れ、かまびすしい歳晩である。きょうは冬至、別名「一陽来復」。この日を境に日が延びるため幸先が良く、かつては1年の始まりとされた。転じて悪いことばかりだったのが、ようやく良い方向に向かうとされる。
もっとも、問題の全容解明や責任追及はこれから本格化する。ため息が続く新年になりそうだ。それでもこの際、徹底的にうみを出し切り、初心に返って体質を改めていくしかない。