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2023.12.16 08:00

小社会 虎よりも税

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 師走の恒例になった今年の漢字に「税」が選ばれた。毎年、揮毫(きごう)する京都・清水寺の森清範貫主(かんす)は阪神ファンで、「虎」かと思っていたとか。ここは岸田首相が「増税メガネ」と厳しくやゆされた世相が上回ったのだろう。

 かつての本紙連載「漢字がわかる―白川静さんに学ぶ」に、「税」の字の成り立ちがある。つくりの「兌(えつ)」は、祈りをささげる「兄」に神が降臨し、身も心も脱落した状態。中身がすっかり引き出されるという意味がある。

 「禾(のぎ)」は米や粟(あわ)などの穀類を表す。その収穫の中身から一部を引き出し、納めさせる字が「税」になった。なお、同じつくりの「脱」も肉が抜け落ちる意。税の中身をさらに不正に引き出すと、「脱税」と後ろ指を指される。

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑が底なしの様相を呈している。渦中の安倍派幹部は表舞台から総退場した。ただ、説明責任は果たされないまま。誰の指示なのか、使い道は何か。全く解明されていない。

 先の国会では、野党側が裏金は「脱税に当たる」と攻め立てた。還流分を政治活動に使ったという主張が通れば課税の対象外。私的な使い道に消えていれば課税され得るという。どこまで検察が実態を解明するかになろう。

 この逆風に、さすがに与党は税制改正大綱で防衛増税の時期を決められなかった。年の瀬まで「税」でドタバタ。確かに虎より税の1年だったのかもしれない。

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