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2023.12.14 08:00

小社会 冬の光

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 高知城を光で彩るイベントが今年も始まり、会社の帰路に立ち寄った。史跡と光の競演はいまや定番の集客企画。年末年始の風物詩になった感がある。
 
 ところでなぜ毎年この季節なのか。それは夜が長く、空気が澄んで光が映えるからだという。竹灯(あか)り、キャンドルナイト、イルミネーション。光の催しはたいてい冬だ。

 天体観測も適期は今。加えて冬の夜空は一年で最も豪華とされる。天文随筆家の野尻抱影に言わせれば「地上の花の凋落(ちょうらく)の候に、天上の花が反(かえ)って繚乱(りょうらん)と開く」(著書「星は周(まわ)る」)。オリオン座、ベテルギウス、シリウス…。深夜のひんやりとした空気の中、空を見上げてみる。

 月並みな言い方だが、星を見ていると吸い込まれそうな錯覚に陥る。野尻はこの感覚を「人間の世界と断りはなされて、ただ吾(われ)と星のみあり」「悠久とか永遠とか、今の世に縁の遠い感じが胸の奥を掠(かす)める」と記した。

 その夜空では今晩、ふたご座流星群が出現のピークを迎えるそうだ。近年では一番の観測条件だとか。〈流れ星はるかに遠き空のこと〉虚子。一瞬の輝きが空の広さをより感じさせるに違いない。

 何となく星に傾倒してしまうのは、やはり地上が騒がしいためか。政界は裏金疑惑に揺れ、どうなるか見通せない。ショウヘイ・オオタニの契約金1千億円は衝撃的だった。いつも同じように輝く悠久の夜空に、俗世で起こるいろいろな出来事を溶かしてみる。

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