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2023.12.12 08:00

小社会 舟の行方は

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 唐の第2代皇帝、李世民の言行録に「貞観(じょうがん)政要」がある。7世紀の貞観は中国史上、最も国が治まった時代の一つという。現代の日本でもリーダー論に使う経営者は少なくない。

 冒頭は、君主たる者の道から始まる。〈人民から重税を取り立てて自分が贅沢(ぜいたく)をするのは、あたかも自分の足の肉を割いて、自分の腹に食わすのと同じである。満腹になったときには体が弱ってしまい、死んでしまう。…まず、君主自らが姿勢を正す必要がある〉。

 実業家、出口治明さん著「座右の書『貞観政要』」の訳を引いた。農作物をつくり税金を納める人民が生産階級なら、君主は人民に頼るしかない寄生階級。李世民は、足(人民)が弱れば自分も死ぬとよく理解していた、と出口さんは書く。

 むろん、いまの日本の民衆にとって政治家は「君主」ではない。とはいえ、国の方向や立法に関わる立場ではある。となると、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑に思うところは多くなる。

 物価高にあえぐ国民を横目に、国会議員の第2の給与といわれる旧文通費の見直しは進まない。一部返納するとはいえ、首相や閣僚らは年収増。そして裏金。カネ、カネ、カネ。これで国民には防衛費や少子化対策で負担増だ、とはいかに。

 言行録には〈君は舟なり、人は水なり〉ともある。水には舟を浮かべる力も転覆させる力もあるという意味。さて、随分揺れている舟の行方は。

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