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2023.12.10 08:27

龍馬の祭典での出会い マイナーな樋口真吉推しに共鳴!? 幡多支社―ニュース忘年会(5)

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イラスト・竹内宏樹

イラスト・竹内宏樹

 高知に生まれながらも酒が飲めず、よさこいも踊ったことがない。みんなが右へ行けば左へ行く。へそ曲がりで、マイナー路線を歩んできた当方。40代半ばを迎え、ある取材で自らの路線転換を“決意”した。

こちらの記事のこぼれ話です↓
◆国内外の坂本龍馬ファン集合! 61団体400人が交流  高知県四万十市
 
■令和に志士2人?
 坂本龍馬。高知が生んだ幕末のヒーロー。全国のファンが集まるイベントが10月、四万十市で開かれた。キラキラしたファンは苦手だが、祭典を素直に楽しめれば、私もメジャー路線に乗れる!? 行くしかない。

 会場には国内外の龍馬会61団体、約400人が集結。NHK大河ドラマ「龍馬伝」の脚本家が製作秘話を披露し、大いに沸いた。私もだんだん胸が熱くなってきたぞ、龍馬ウェーイ!

 と、その時、何やら不穏な空気を漂わせ、腕組みする2人が私の前に立ちはだかった。同市の郷土史家、沢田勝行さん(79)と寺尾敏夫さん(81)。中村出身の幕末志士、樋口真吉(1815~70年)の顕彰活動に熱心な重鎮だ。

 真吉は、暗殺直前の龍馬が友人に宛てた手紙で「樋口真吉に頼んで安全な隠れ家を探してくれ」と記した人物。しかし、知名度は低く、志士の中ではマイナーな存在。2人は地元での祭典で真吉を全国にアピールしようともくろんだが、事前の打ち合わせで“討ち死に”していたのだった。

■強引に決行
 懲りない2人は、翌日の体験型見学会に「真吉コース」を設定。だが、こちらも申し込みが最少催行人数に達せず、あえなく中止の憂き目に遭っていた。

 「あに図らんや、参加者が…」「真吉は全国級の志士、と証明するのがわれらの役目なのだが…」。まるで幕末の志士のごとく天を仰ぎ、悲憤慷慨(こうがい)。そこから、私が立ち去ろうとした瞬間のことだった。

 「やりますよ!」

 志士寺尾の鋭い声が、私の心を貫いた。その隣で、志士沢田も不敵な笑みを浮かべている。

 翌朝、私を含む9人は令和の志士2人が借り上げたジャンボタクシーに乗せられていた。公式には中止になったはずの真吉コースを「個人で決行」したのだ。

 私たちは、屋敷跡など市内の真吉ゆかりの地を巡り、最後は砲台跡へ。途中で無関係のオブジェ、津波避難タワーにも上って、昼食時間はたった15分…。

 そんな強行軍にもかかわらず、参加した県外客らは「勉強になった!」と満足げな様子。私も龍馬より真吉のファンとなり、またマイナー路線に逆戻りか? 

 いやいや志士沢田と志士寺尾のことだ。少々強引で話も長い2人だが、真吉をいつの日か、メジャー志士に仲間入りさせるだろう。(芝野祐輔)

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